結果を出す手技療法

脊柱管狭窄症の術後もしびれや痛みが残る方へ 〜鍼灸と刺絡による改善例〜

脊柱管狭窄症の手術をされましたが、経過が思わしくない60代男性です。

脊柱管狭窄症は、加齢や姿勢の乱れ、過度な腰への負担などが原因で、脊柱管(神経の通り道)が狭くなり、神経を圧迫することで足腰に痛みやしびれが現れる病気です。

近年は手術によって症状の改善を図る方も多くいらっしゃいます。しかし、手術によって一番つらかった症状が軽くなったにもかかわらず、完全には取りきれない痛みやしびれが残るというケースも少なくありません。

今回は、当院にお越しいただいた患者様の体験を通して、術後の残存症状に対する鍼灸と刺絡(しらく)療法の効果をご紹介します。

メルクマニュアルの解説

世界標準のメルクマニュアルの解説です。日本ではMSDマニュアルとなっています。Merck Manuals (known as the MSD Manuals outside of US & Canada) 

患者さん経過

約5年前から当院で治療を行っていました。経過は一進一退で、整形外科のお薬も年々強くなりました。

しびれは放置すると治りにくいので早期に手術をするように勧めていましたが、事業の成り行きで直ぐできないとの返事でしたが、ようやく今年に手術ができました。

病院での事前診察では、腰部の脊柱管狭窄症だけかと思ったら頸部の脊柱管狭窄症のがひどく、先ず首の手術をされました。

経過で腰の手術も必要になるそうです。

来院時の症状

2月に手術をされました。

一番耐えられない足の強い痛みが楽になったそうですが、依然として手の痛みやしびれがあるそうです。

執刀医は「手術は成功しています、順次症状は楽になるでしょう」と言われたそうです。

術後2ヵ月を過ぎても、つらい症状があるので来院されました。

手のしびれと痛みが強く手を上げるとジーンと痛みとしびれが出るそうです。手持ちのお薬を全部飲んで仕事に行かれているそうです。

薬が効いてくる2.3時間後には多少良くなるそうですが、薬が切れると痛くしびれるそうです。

治療

狭窄症には、脊椎骨盤矯正は実施してはNGです。

患者さんの首の周りの筋肉が異常緊張しています。 

第1回目:鍼灸施術で症状が和らぐ

先ず全身の鍼灸治療を行います。

このような症状には独自の配穴を行い、針を100本くらい使用します。痛みとしびれのリバウンドが出ますが、この方法が1番効果が出ます。

全体の治す力を強くするために、漢方の「腎」「胃」「脾」を強くする治療をします。

治療直後は血流と神経の流れが良くなり、患者さん「感覚的には余計にしびれて痛い感じがする」と言われました。

翌日は痛みのリバウンド(瞑眩、好転反応)が出てつらくなりましたが、翌々日に痛みが半減しました。しかし、仕事を休めなく元に戻った感じだと言われました。

症状のリバウンドで悪くなったと苦情を言われる患者さんが時々います。

東洋医学治療の反応なので、それを乗り越えると楽になりますが、判断は患者さん次第です。つらくて無理な場合は中止となります。

瞑眩(めんげん)とは

漢方薬を服用したり、鍼灸などの東洋医学的治療を受けた際に、治癒に向かう過程で一時的に症状が悪化したり、予期せぬ症状が現れることを指します。好転反応とも呼ばれ、身体が自然に回復に向かっている過程で起こる反応と捉えられます。

第2回目:刺絡療法で劇的改善

2回目の来院時、患者さんは「しびれは少し軽くなったが、まだ残っている。朝がつらい」と訴えておられました。

交感神経の緊張があると判断し刺絡を行います。事前にマイクロカレント通電を行い全身を整えます。

風邪ぎみで、鼻が詰まり喉が痛いと言われます。

特に症状の出ている、H1、H6、H2、H2’、F1、F6、F4へ刺絡を行います。大椎(GV14)、身柱(GV12)へも行います。

H2’は膈兪経(新経絡)になります。

鍼灸経絡図・図版資料データベース公開 – 東亜医学協会『漢方の臨床』

H2から始めましたが、刺絡をやる度に患者さんは「あれー、あれー、段々楽になっている?」終わると「殆ど痛くないししびれない」と患者様自身も驚かれるほどの変化が現れました。

また症状は戻りますが、繰り返しの継続した治療で良くなるでしょう。

脊柱管狭窄症の手術は大きな決断ですが、それですべての症状が取り除けるとは限りません。特に、神経の回復には時間がかかることも多く、日常生活の中で支障をきたす「残り症状」に悩む方も少なくありません。

こうした場合、西洋医学と東洋医学を組み合わせたアプローチが非常に有効です。

当院では、身体の声を丁寧に聞き取りながら、鍼灸と刺絡を使い分け、患者様に最も適した施術を行うことを大切にしています。

まとめ

今回ご紹介したケースのように、手術後のしびれや痛みでお困りの方に、鍼灸や刺絡療法が大きな助けとなることがあります。

もし「このまま治らないのでは」と不安を感じていらっしゃる方がいれば、一度当院にご相談ください。40年以上の臨床経験を活かし、再び笑顔で生活できる毎日を取り戻すお手伝いをいたします。

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この記事を書いた人

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村坂 克之

小又接骨院・鍼灸院の院長です。鍼師、灸師、柔道整復師の国家資格にて治療を行っています。屋号の小又(こまた)は、先祖の小谷屋亦治郎(亦=又)に由来します。親指シフトユーザー。
詳しくは院長略歴をご覧下さい。