両股関節を広げにくいのは以前からあったそうです。
先天性股関節形成不全や先天性股関節脱臼ではありません。
腰痛を発症し来院されました。
痛みの場所
鼠径部は腰神経1番の支配なので、該当する腰椎の可動性のチェックは当然必要になります。仙腸関節のみではスパッと改善しません。
股関節可動域も外旋内旋共に正常45度までできません。2/3位です。右>左で悪いです。
仙腸関節
仙腸関節の可動性が、腰部や股関節の状態に影響します。
その可動性は数ミリ以下で、画像診断では発見されないので見過ごされやすいのです。
仙腸関節に限らず骨盤がズレるというのはトンデモ医学なので惑わされないようにして下さい。出産後に骨盤矯正をしましょう何て言うのは最たるものですが、想像しやすいので信じる人も多いです。
しかし、説明をする上に於いては、ズレるという表現は理解しやすいので頻用されて来た歴史もあります。
本来は、可動性も主運動ではなく副運動(関節の遊び)なので、ますます一般には理解しにくく、医療者でも理解しない人も大変多いので困ります。
股関節の動きから仙腸関節の状態を診ます
仙腸関節への解剖運動学矯正法や腸腰筋修正で回復させます。仙腸関節の動きの修正のみでは不十分です。
開排運動も正常になりました。股関節のFadirf・Fabere(Patrick)テストも正常になりました。
- Fadirf(ファダーフ)(膝屈曲位で股関節を90度屈曲し、その位置から内転、内旋、屈曲。仙腸関節の前屈が起こる。)
- Fadirf testの動きは、膝屈曲位、股関節90度屈曲、内転、内旋、屈曲。
- Fabere(ファベレ)(股関節90度屈曲位から外転、外旋、伸展。股関節に問題がなければ仙腸関節の検査になる。仙腸関節前屈が起こる。)
- Fabere testの動きは、膝屈曲位、股関節90度屈曲位、外転、外旋、伸展。
3診にて略治
仙腸関節の機能異常を修正する矯正法と、リアラインコアによる動的可動性の修正を3回行い略治しました。
40代の年齢が幸いしました。これが50代、60代となると、関節周りの靱帯や関節包などが硬くなるので反応も遅くなります。
若干、股を急に広げるときに違和感が出るそうですが、日常生活の不都合が無くなったので治療は終了としました。
このような症状は、仙腸関節の引っかかりが発生すると再び出現します。
私見ですが放置すると変形性股関節症に移行すると思っています。