さるX年X月に転倒し、顔面部を強打した患者さんです。60代後半女性です。
顔面部を打撲したとき、頸椎の動き(椎間関節)に異常が起こり、このような症状を引き起こすと考えられています。
肉体は強い恒常性(ホメオスタシス)があるので、たとえ衝撃を受けても、普通は他の全身症状が出ることはありません。
症状が出たとしても、若かったり衝撃が弱ければ自然に治りますが、加齢、性別、体力の有る無しなどで出ることもあります。
転倒してホホ骨を骨折
転倒したときは、顔が潰れたと思ったほどの衝撃だったそうです。
負傷後、自宅で寝ていましたが気分が悪く救急外来を受診し、頬骨骨折と診断されました。
骨折は何もされず、自然経過で無事治ったのですが、その後数ヶ月したら、腰の痛みを訴えられ来院されました。
首から上の負傷をすると、数ヶ月後に全身症状が出るよく見られる現象です。
70歳前なので、負傷と発症との時間のズレが大きいです。
坐骨神経痛
最初訴えられたのは腰は左坐骨神経痛です。2回の鍼灸療法で治りました。
首肩のこり感とゾヤゾヤ感
腰が改善しかけたら、実は首もつらいのですと言われます。症状はこり感と、何かの度にヒヤッとすると言われます。
首や肩の症状には、独自の矯正法マニピュレーションを3回行い、順次軽減しました。
ズレではありません!
工学における遊び(あそび)、すなわち機械の接合部には遊びがあり、人間も同様に関節の遊びがあります。
それを修正する独自の矯正や治療法です。
やはり、健康の基本は背骨です。この考えは私の治療法全てに関連しています。
手のしびれ
そうしたら、腰や首肩は楽になったけど、右手がしびれると言われます。
拝見すると、軽度の手根管症候群でした。
整形外科で行われる手根管症候群への治療は、ビタミンB12やビタミンEの飲み薬、患部へのステロイド注射、就寝時の装具固定がありますが、経過は良くない場合が多く、自然治癒を待ちます。ダメなら手術になります。
患者さんは頻繁に通えたので電気の物理療法を行います。2.3日は経過良好なのですが再び戻ります。
これを3ヶ月程度続けても良いのですが、だらだらと治療をするより早く治した方が良いので、鍼灸療法を実施することにしました。
手根管症候群への鍼灸は、当院独自の方法で行います。抜群の成績を出しています。
患者さんの反応が良ければ、数回の施術で終了となります。通院も週に1回で十分です。