結果を出す手技療法のパイオニア

ベーカー嚢胞の70代女性(沖縄県) 遠路はるばる来院 結果が出なく今後の方針を提案しました

沖縄県から患者さんが来院されました。季節外れの台風2号が有り、当初の日程を変更されての来院です。

患者さんの悩みは、10年以上も前からある〝ベーカー嚢胞(嚢腫)〟です。

海外の大学院を出られたお嬢さんが色々と検索して、手術は簡単にはできないと分かられ、独自の治療法で施術を行う当院を見つけられました。

ご子息と、飛行機と北陸新幹線を乗り継ぎ、富山からレンタカーで来られました。

今回、一緒に治療を受けるお姉さんとは、東京で合流されたそうです。

状態

ベーカー嚢胞と伺っていましたが、その膝には水が溜まる症状、関節水腫もありました。

膝の前側にも水が溜まり、後ろ側には巨大な嚢胞があります。これは、膝関節の慢性の炎症状態があることを示しています。

嚢胞は、立位の測定で約9×6センチです。うつ伏せになると広がるのでもっと大きくなります。

膝関節の前側の水腫は、独自の治療で即日消退させることは可能なので一安心ですが、思いのほか悪い状態です。

施術

初日の治療は3時間近くかかりましたが、十分な結果を出せませんでした。

収める手技をしても、嚢胞が逃げて逆止弁が開きません。嚢胞の袋が伸びきっているためです。

次の日、2回目の施術前に確認すると、膝の前側の関節水腫はきれいに引いていましたが、ベーカー嚢胞は相変わらず存在していました。

しかし、宿泊される宿で、就寝時に、当院独自の圧迫法を行って頂いたら嚢胞が少し小さくなっていました。

幸いに、この反応が出たので、今後継続して行えば嚢胞を今より小さくできるかもしれません。

残念ながら、2日目も治療を行っても完全には治りませんでした。

発症のきっかけ

詳しい問診を行った結果、原因が分かりました。

十数年前に近医から注射を受けた際に、ステロイドかヒアルロン酸か不明ですが、関節が化膿し腫れてしまったことがわかりました。

この原因がベーカー嚢胞を引き起こすきっかけとなったようです。

症状の重さを考え、手術が最善の解決策と思われましたが、同伴したお姉さんが膝にヒアルロン酸注射を何年もしているけど効果を感じられないから、東京都内の整形外科でPRP療法と幹細胞療法を相談されていると言われました。

私もPRP療法を受け膝が調子良くなった体験があり、このような慢性の関節炎状態に有効な可能性があるため、患者さんに勧めることにしました。

高価な注射ですが、漫然とヒアルロン酸注射をするより断然効果が期待できます。

その後の結果次第で、次回来院される予定です。

膝の再生医療【PRP-FD療法】を受けました 今後の変化をブログに書いていきます – 小又接骨院・鍼灸院(村坂克之)

今後の提案

先ず、当院独自の関節への圧迫法を就寝時行って頂くことにより、現時点より嚢胞は小さくなります。

長年収まらない膝関節の慢性の炎症状態を改善することにより、ベーカー嚢胞が小さくなる可能性があります。

時々の来院(3ヶ月に1回以上の通院)が可能なら独自の鍼灸で治せますが、沖縄からでは費用もたいへんです。

PRP療法なら慢性の膝関節の炎症を消退させます。それを2回程行えばベーカー嚢胞の腫れも減少すると思われます。

そこから、今一度、手技で収めることに挑戦したいです。

ベーカー嚢胞ができる原因は色々です

加齢で自然にできたベーカー嚢胞と違い、膝の損傷歴や不幸な経過を持つ患者さんにとっては、治ることが難しいことも確かです。

過去の患者さんで、半月板損傷で内視鏡手術を行い、後にベーカー嚢胞になった患者さんも、良好な結果が出ませんでした。

大海を越えて当院を訪れた患者さんに、十分な結果を出せなかったことを詫びつつ、次回来院に備えて技術の研鑽を誓うのが私の本心です。

この経験は、今後のより良い医療に必ず役立つと確信しています。

この記事を書いた人

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村坂 克之

小又接骨院・鍼灸院の院長です。柔道整復師、鍼灸師の国家資格にて施術を行っています。屋号の小又(こまた)は、先祖の小谷屋亦治郎(亦=又)に由来します。親指シフトユーザー。
詳しくは院長略歴をご覧下さい。