結果を出す手技療法のパイオニア

吸角(吸い玉)療法 数千年前から存在する筋膜リリース 現代に活かすにはコツがいる

吸角療法(吸い玉)は、エジプト時代から使われている療法です。

エジプトは2500年続きましたから、現代も合わせると5000年以上の歴史になります。

表面からは触れない、人体の深い場所、骨のキワ、筋膜、腱靱帯由来に症状がある場合があります。

点の刺激は鍼、面の刺激は吸角療法が最適な場合があります。経穴(ツボ)へ使用しないと効果は半減します。

一時期、無資格者の繁用で衰退しましたが、再び施術効果が見直されて来ました。

オリッピック選手が使用し始めたのは、ドーピング検査が年々厳しくなり、お薬を使わない東洋医学に救いを求めているからです。

施術後には吸引した痕が内出血のような瘢痕になりますが、1週間から10日間で消えます。

症例

膝痛の患者さんです。

階段から降りられない

50代女性です。悪い側の膝を曲げて階段を降りられません。小さくジャンプして降ります。

以前、両股関節の変形性疾患が基礎疾患としてあり、膝痛もあり、治療が順調に進み、経過良好になっていましたが、急病で休まれました。

その後、仕事に復帰はされましたが、膝の痛みが以前の半分ぐらいに戻ってしまいました。

背骨の関節の動きは治り問題なし

痛い痛いと言われても、仙腸関節、腰仙関節の動きも良く、状態は以前より良いのです。

これは、筋肉の運動連結がうまくいかないため、膝から下、特に膝関節周辺に強い痛みを訴えらると考えます。

鍼も1回で効いたが

再び、根本を治す鍼治療行います。

以前問題のあった、腸脛靭帯のスパズム筋緊張は1回で緩みましが、依然、膝の裏側から腓骨周辺(膝の外側)に強い痛みを訴えます。

ソマニクスや遠絡統合療法などを行ないましたが、その場限りで持続する良い反応が出ません。

これは筋連結や筋間中隔の問題だと特定できたのです。

吸角を使用

ここで初めて、吸角療法、吸い玉を行うことにしました。

実施中に筋肉が反応し、終了後はほぼ痛みも無くなり、階段の上り下りの動作も可能になりました。

筋肉の滑走の問題、筋間中隔の動きが引っかかりの問題のため起きていた症状だったのです。

鍼以外で、筋間中隔、コンパートメントまで届く刺激はこれしかありません。

吸角(吸い玉)療法

日本では、健康医学社の黒岩東五氏が真空浄血療法として精力的に研究されていましたが、現在会社は無くなりました。

真空ポンプで行うと、より一層の深部の筋肉を緩め、患部の炭酸ガスを排出します。

吸引時の排気ガスが毒なので術者は要注意です。

皮膚下に疲労物質などが溜まっている人は、吸角に独特な反応を示し、これを手で解消するのは難しいと分かります。

吸角(吸い玉)は、マッサージとは比較にならないほど効果があります。

痕が付くのが難点だけです。痕が付くのがイヤと言う人は症状と向き合っていないと思います。

陰圧で吸引しますから、患部の皮膚上の炭酸ガスが排出され、皮膚内部の血液循環が促進され、深部の循環も改善されます。

肝心なのは、サイズの選択、症状に合わせて吸角を行うタイミングが重要です。

筋膜リリースは多彩ですが

私はナイフを使った筋膜リリース、IASTM SMART Toolsの資格も持ってます。

皮膚をこすると内出血の瘢痕はできます。見た目は凄く効いたような印象です。

この手技は表面の問題には効果的ですが、中高年にありがちな深層肉や、筋肉同士の滑りの状態、滑走不全の改善には至らないことが多いのです。

器械を使いエンダモロジーの様に皮膚への刺激を行う施術もあるようですが、吸角より効果があるとは考えにくいです。

筋膜リリースを臨床経験上、陰圧刺激が皮膚面にしっかり伝わる吸角(吸い玉)が、筋膜や深層筋への効果が一番出ます。

病は吸角だけで解決しない

治療法も適材適所でタイミングというのもあり。治療法の手札が多いに越したことはないと実感しています。

表紙:Kom Ombo Temple – Discover Egypt’s Monuments – Ministry of Tourism and Antiquities

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村坂 克之

小又接骨院・鍼灸院の院長です。鍼師、灸師、柔道整復師の国家資格にて治療を行っています。屋号の小又(こまた)は、先祖の小谷屋亦治郎(亦=又)に由来します。親指シフトユーザー。
詳しくは院長略歴をご覧下さい。