高山市から来院されました。
ベーカー嚢胞は簡単に消失する場合と難渋する場合があり、患者さんの状態で様々です。
本症例は2回で消失しました。
来院までの状態
数年前に、ウインタースポーツで転倒し膝を捻挫しました。それの痛みは治療で3ヶ月程で消失しました。
今年の夏に軽登山をして、その後に膝裏に違和感を覚え、触ったらしこりを感じました。
整形外科を受診し、ベーカー嚢胞の診断、穿刺で排液しましたが余計に痛みが強くなりました。
鍼灸の治療を数回受けましたが、変化有りませんでした。
来院時の状態
片方の膝裏に3×3㎝の嚢胞を確認します。
フーシェ徴候も陽性です
Foucher’s sign: The cyst becomes hard with knee extension and soft with knee flexion;
フーシェの徴候:嚢胞は膝伸展位では硬く、膝屈曲位では柔らかくなります。
膝自体も腫れていまして、軽度の炎症状態と確認します。
正座の時に違和感を感じるそうです。
当院の治療
1回で最大限の治療効果を出すために、これだけの治療が必要になります。
時間は2時間以上かかります。
治療内容
- 外側脊髄視床路への神経促通
- 関連する脊椎椎間関節や仙腸関節の可動性回復(独自開発)
- 骨盤と肋骨の動的可動性の回復と立位体幹軸の修正
- 患部の血流促進や体液循環促進
- 膝関節自体の抗炎症
- 患部の悪玉活性酸素除去
- 関節包に柔軟性を出す特殊鍼(独自開発)
使用する治療法
- チクチク療法(長田式無血刺絡療法)
- 解剖運動学矯正法(独自開発)
- パーマー式カイロプラクティック
- アクティベーター療法
- リアライン療法
- 高濃度人工水素水浴
- 加圧リハビリ(医療目的加圧トレーニング)
- 特殊鍼治療(独自開発)
- 逆止弁解放テクニック(独自開発)
自宅リハビリが大切
治療の成功の可否はこれにかかっていますので、疲れますが毎日実施して頂きます。
- 村坂ゴムバンド足指強化法の習得
- 膝関節の隙間を広げ、関節液の促通させる自己運動
経過
1回目
反対側の股関節の動きに異常があります。
解剖運動学矯正法を行い、その場で痛みが取れて、開排運動も正常になりました。股関節のFadirf・Fabere(Patrick)テストも正常になりました。
嚢胞の逆止弁が中々開きませんでしたが、最後には嚢胞も9割消失しました。
嚢胞の芯が残っている状態です。イメージとしては魚の目やタコを想像して頂けると良いです。
2回目の治療に期待します。
次回の来院まで、村坂ゴムバンド足指強化法をしっかり行って頂きます。
2回目(2週間後)
立位で確認しますと、嚢胞は半分以下になりましたが、依然あります。
前回の股関節の動きの引っかかりがまだ残っていますので仙腸関節の副運動(関節の遊び)を治します。
まだ、足の4.5指には力が入りません。長年の歩行を改善するにはもう少し時間がかかります。
本人さんが力が入っていないという自覚が有ると無いとでは予後が全く違います。(ここ大事!)
治療後は、芯も緩解し、嚢胞は消失しました。
膝の腫れがあるので、これが消退すれば良好な状態が続きます。
原因
原因は、過去の膝の負傷が完全に治りきっていなかったのが元の原因です。
痛みが無くなれば治療は不要になりますから、難しい所です。
どうしても古傷かきっかけで色々な障害が起きてくるのは致し方ないです。
人間、だだでは年を取れません。
結果
まだまだお若いので、治療に反応してくれました。
これで、再び登山が可能です。
が、今回の場所が患者さんの弱点となっていますので、今後も要注意です。