45年の臨床経験|観察から原因を見極め結果に導く

手根管症候群による手のしびれが改善傾向に、50代患者さんがタリージェの服用を中止できた

標準治療のメルクマニュアルの解説です。

手根管症候群 – 08. 骨、関節、筋肉の病気 – MSDマニュアル家庭版

手のしびれに悩んでいた50代の患者さん

手根管症候群による手のしびれで来院されている、50代の患者さんのお話です。

この患者さんは、飛騨地方の整形外科で治療を受けていましたが、思うような改善が得られず、隣県の整形外科まで通院されていました。

整形外科での治療によって症状は少しずつ改善していましたが、さらに症状を軽くし、日常生活を少しでも快適に過ごしたいという思いから、当院へ来院されました。

鍼灸を主体に施術を継続

当院では、鍼灸を主体とした施術を行っています。

初期には全身の脊椎矯正も行い、その後は鍼灸を中心に施術を継続してきました。

私は手根管症候群の患者さんを診る際、手首の状態だけでなく、頸部や背部、上肢全体の状態も確認することを大切にしています。

手のしびれは、必ずしも手首だけの問題とは限りません。頸椎の病気や、ほかの末梢神経障害が関係している場合もあります。

ただし、脊椎の状態が手根管症候群の直接の原因であると考えているわけではありません。

患者さんの症状や身体所見を確認しながら、必要な施術を選択しています。

タリージェを中止してから数か月、症状は落ち着いています

施術を継続するなかで、手のしびれは次第に落ち着いてきました。

この患者さんは、しびれに対してタリージェ(一般名:ミロガバリン)を服用されていました。

処方医からは、状態に応じて徐々に薬を減らしてもよいと説明されていたそうです。

その後、患者さん自身の判断で服用を中止されました。

服用を中止してからすでに数か月が経過していますが、現在のところ症状の悪化はみられていません。

もちろん、薬を中止できたことが当院の施術だけによるものとは断定できません。

整形外科での治療や自然経過など、さまざまな要因が関係している可能性があります。

それでも、私の臨床経験として、鍼灸を継続するなかで症状が落ち着き、薬を服用しなくても良い状態を維持できていることは、印象に残る経過です。

手根管症候群は中年以降の女性に多い疾患です

手根管症候群は、手首にある「手根管」という狭い通り道で、正中神経が圧迫されることで起こります。

親指、人差し指、中指、薬指の親指側にしびれや痛みが現れ、夜間や明け方に症状が強くなることがあります。

進行すると親指の付け根の筋肉が痩せたり、物をつまむ動作が難しくなったりすることもあります。

特に中年以降の女性に多くみられる疾患です。

軽症の場合には保存療法で症状が落ち着くこともありますが、神経障害が進行している場合には手術が必要になることもあります。

手根管症候群は、私が長年取り組んできた疾患の一つです

手根管症候群は、私が長年の臨床で数多く対応してきた疾患の一つです。

私の経験では、鍼灸施術を継続するなかで、手のしびれや痛みが軽くなったと話される患者さんもいらっしゃいます。

一方で、鍼灸によって手根管内の神経圧迫そのものが解消されると証明されているわけではありません。鍼灸の有効性についても、研究は行われていますが、長期的な効果を含めて十分に明らかになっていない部分があります。

そのため、私は整形外科での診断や治療を大切にしながら、鍼灸が症状の軽減や生活の質の維持に役立つ可能性を考えて施術しています。

症状が落ち着いた後の経過も大切です

今回の患者さんは、タリージェの服用を中止してから数か月が経過しても、しびれの悪化がみられていません。

ただし、症状が軽くなったからといって、神経の圧迫が完全に解消されたとは限りません。

再びしびれが強くなったり、指先の感覚や親指の筋力が低下したりする場合には、整形外科での再評価が必要です。

また、タリージェなどの処方薬は、自己判断で急に中止せず、処方医と相談しながら減量・中止することが大切です。

私は、施術直後の変化だけでなく、その後の日常生活で症状がどのように推移しているかを重視しています。

今回のように、薬を服用しなくても症状が落ち着いた状態を維持できていることは、患者さんにとって大きな意味があると思います。

これからも経過を丁寧に確認していきたいと考えています。

※本記事は一人の患者さんの臨床経過を紹介したものであり、すべての患者さんに同様の結果が得られるわけではありません。鍼灸施術と薬の中止との因果関係を証明するものではありません。

  • -
    コピー

この記事を書いた人

アバター画像

村坂 克之

小又接骨院・鍼灸院の院長です。鍼師、灸師、柔道整復師の国家資格にて治療を行っています。屋号の小又(こまた)は、先祖の小谷屋亦治郎(亦=又)に由来します。PC文字入力は親指シフト(orz配列)ユーザー。
詳しくは院長略歴をご覧下さい。