自彊術(じきょうじゅつ)の効果を考えます。
正式なものは解説本を読んでいただき、治療する立場から解説します。
こんなに効くと私たちは困ります(笑´∀`)
治療のみの受け身では健康を維持できませんので、是非日常生活に取り入れて下さい。
自彊術とは
大正時代に中井房五郎と言う天才治療家が自分の健康のために行っていた体操を、中井氏の治療を受け全快した実業家の十文字大元氏が教えを乞うてそれを世に広めた体操です。
自彊術のメカニズム
日本では治病を目的とした医療体術は自彊術のみであり、これを運動療法といいます。
①自彊術は下図のように、31の動作があり、各人の身体状況に応じ、その身体可動の極限まで動かす全身運動です。
②これに要する時間は熟練すれば1回15分です。
③動作は、はずみをつけて、その反動を利用しているので、一見はげしいように見えるが実際はそれ程エネルギーを消費しません。従って病弱者にもできます。(1回15分間:37.2Kcal。1分間:2.4Kcal。)
④機械器具を用いず、たたみ一畳の空間があればどこでもできます。
⑤独特の呼吸法と号令を用います。
引用:自彊術の31動作|自彊術とは|公益社団法人 自彊術普及会
実施する医学的効果
このリンク先に詳しく解説してあります。
私の解説
第1動
- 第1動(20回)下腹部を抱えて肩を上下する運動
按腹になる動作です。お腹のマッサージになります。最低限、毎日この動作だけでも行って欲しいです。
第2動、第3動
- 第2動(20回)肋骨を抱えて肩を上下する運動
通称「肝臓もみ」と呼ばれています。内臓を最初にほぐす動作になります。
肝臓と脾臓に対して、特に肝臓に対して外から血流を良くしようとする考えは誰も思いつかないです。
体調が悪いほど指が入らないです。 - 第3動(20回)両肘を一文字に開き、胸郭を広げる運動
できそうでできない運動です。肩関節や胸郭の可動性を広げます。
上肢の疾患や五十肩の予防や治療になります。悪いと背骨がポキポキ言います。
第4動、第5動
- 第4動(20回)両手を後ろで組み合わせ、肩を上下する運動
肩こりのある人は殆どできないです。手が届かない場合はハンガーやタオルを使って下さい。 - 第5動(左右10回)胸郭を広げる運動
自彊術の中で1番難しい動作なので習った方が良いです。
この動作を行うことにより上肢体全体の可動性が出ます。上肢の疾患や五十肩の予防や治療になります。
第6動、第7動
- 第6動(12回)頭を左右の真横に振る運動
動きが硬いとポキポキ首がなりますが心配は不要です。 - 第7動(12回)頭を前後に振る運動
私のように腰が悪いとこの動作で腰に痛みが出ます。続けると段々落ち着き腰も楽になります。
6.7.8動は、頚を動かす体操です。目まいの予防になります。頚コリにも効きます。椎間関節の硬い人は徐々に行うと関節が動いてきます。
第8動、第9動
- 第8動(12回)頭を左右に振り回す運動
目まいの予防になります。 - 第9動(左右6-6-6回)頚筋を叩く運動
重要な運動です。
私の発明した前頚部矯正法もこの動作をヒントにしています。
唾液の分泌を活発にしてくれますし、首の動きも良くなります。
第10動、第11動
- 第10動(左右6-6回)後頭部を叩く運動
ツボで言う、瘂門(あもん)、天柱(てんちゅう)、風池(ふうち)を刺激します。脳の血流を活発にします。凄く効きますが、第1動からの流れで効果があるので、これだけやっても意味はありません。 - 第11動(左右6-6回)額を打つ運動
ツボの印堂(いんどう)を刺激します。眼、鼻、耳への刺激になります。
第12動、第13動
- 第12動(2回)両眼を押す運動
この体操は近視予防で有名な体操ですが、既に大正時代に生まれていました。
最近、ドライアイで目薬を差していますが、この体操をやると涙が出て使用頻度は減ります。眼の疲れも減ります。 - 第13動(20回)両足を前に投げ出し、両手をそろえて前へ伸ばす運動
私は体が硬いですが、できる範囲でやります。
13.14.15動は下半身の運動の基礎です。腰痛症に効果があります。お医者さんに手術を提案されたなら是非3ヶ月程やってみるのをおすすめします。
第14動、第15動
- 第14動(10回)四つんばいになって、全身を上下に動かす運動
一見、腕立て伏せのようですが肘は広げません。転倒時に手が出る訓練にもなります。腹筋も鍛えられます。 - 第15動(20回)腹筋を伸ばし、骨格を矯正する運動
気持ち良い運動です。私は最初全然反れなかったです。肩甲骨の柔軟にもなります。
西洋医学でマッケンジー体操と言い腰痛体操になっています。
第16動、第17動
- 第16動(上下40回)直立して、両腕を同時に上下する運動
腕を振ると気持ち良いです。上肢に関節の痛みがあると関連して他の関節に痛みが出ます。
続けると痛みが減り治ります。私はマウス腱炎が治りました。 - 第17動(左右前後10回)両腕を別々に、上下に回す運動
これも連動して腰への治療になります。腰が悪いと痛みが出ます。
16.17.18.19.20動は、上肢の運動です。腕や肩を健康に保つには相当な努力が必要ですが習慣になれば簡単です。
第18動、第19動
- 第18動(前後10回)両腕をそろえて、同時に上下に回す運動
両手同時にやることで左右前後のバランスを学習します。 - 第19動(左右20回)腰をひねり回しながら、手で背部をたたく運動
大変重要です。
肩付近は肩こりのポイント(肩井)へ、下の動きは胃腸のポイントを叩きます。(胃兪、胃倉)
第20動、第21動
- 第20動(上下20回)両腕を振って背部の上下を叩く運動
気持ち良いです。リズムに乗り肩と背中を叩きます。 - 第21動(10回)両手で両足のつま先をつかみ、膝を屈伸する運動
重要な体操。
全身に血液を流れさせます。目まいの予防、大切。
第22動、第23動
- 第22動(6-6回)足を一歩半踏み出して腰をひねり、上体を反らす運動
腰に異常があればよろめきます。21動の反対の動き、目まいの予防。 - 第23動(20回)直立して状態を左右に曲げる運動
簡単ですが、手や踵が離れないようにします。背骨がポキポキ鳴ります。
第24動、第25動
- 第24動(20回)尻をかかとに打ちつけ、両手を目の前に突き出し、その反動で直ちに直立する運動
私はできないので柱につかまりやっています。
足首の柔軟性、アキレス腱の柔らかさが転倒予防や腰痛予防になります。 - 第25動(20回)両足を開いて中腰にしゃがむと同時に、両手を目の高さに突き出す運動
流行のスクワットと似た動作です。反動を利用するので関節の負担は少なく筋肉を鍛えることができます。
1ヶ月続けたら、股関節周辺や太ももが太くなりました。
第26動、第27動
- 第26動(2回)両足を左右に極度に開く運動
変形性の股関節症や膝関節症の予防になります。発症している人でも少しでもいいのでやると痛みが減ります。 - 第27動(20回)相撲の四股(シコ)のように腰を落とす運動
股関節などの下半身はもとより、私は上半身の矯正になっていると考えています。
肩が上下すると肩甲骨も動きます。
この動きで胸椎1番と鎖骨と肩甲骨のバランスが取れます。
第28動、第29動
- 第28動(20回)直立して両腕を振り、状態を左右にひねる運動
相撲のうっちゃりと同じ動作です。転倒しても体が動く訓練にもなります。目まいの予防、しっかりと後ろを見ます。 - 第29動(50回)両膝を折り、尻をかかとの間に落として仰向けに寝て、両膝頭で畳を打つ運動
私はできないので、背中にクッションを置くか座布団のようなクッションを足に置いてやっています。無理なくしましょう。
大腿四頭筋のストレッチになりますから膝の悪い人は必須です。
第30動
- 第30動(10回、立位なら20回)全身を回転する運動
私は手本通りにはできません。私は上部胸椎から頸椎にかけてのストレッチ感があり気持ちがよいです。最初はミシミシ音がしました。
女性の場合、生理中や妊娠中の代替の方法が提示してあります。
第31動
- 第31動(10回)両足を揃えて直立し、飛び上がる運動
現在、骨密度を高め関節の軟骨への刺激になる運動として推奨されています。
今更ながら、中井氏の先見の明を感じさせられます。
当院では
当院では、以下の様に自己リハビリを紹介しています。
- 脊柱の歪みと関節の調整は自彊術
- 足指を強化する村坂ゴムバンド足指リハビリ
- 上肢の症状を改善する手指の柔軟性を出す村坂ストレッチ法
が基本となっています。
表紙:引用:自彊術・中井房五郎著、国立国会図書館デジタルコレクション・インターネット公開(保護期間満了)