今月、腰椎椎間板ヘルニアが再発した患者さんが2人来院されました。
お二人とも、一度は症状が改善していました。しかし、良くなったあとに再び無理をしたことで症状が悪化しています。
腰椎椎間板ヘルニアでは、「痛みが楽になった=もう大丈夫」とは限りません。
今回は、年代の異なる2人の患者さんについて書いてみます。
30代の患者さん
発症から1年以上経っていました。
整形外科で治療を受け、一度は良くなりましたが、その後再発し、なかなか思うように改善しない状態が続いていました。
当院の施術にはよく反応されました。
年齢が若いことも関係しているのか、施術後にはかなり調子が良くなります。
- 初回、鍼灸
- 2回目、脊椎骨盤矯正
- 3回目、てい鍼とソマニクス®
- 4回目、てい鍼とソマニクス®
- 5回目鍼灸
- 6回目てい鍼とソマニクス®
- 7回目刺絡
ところが、一旦は良くなりますが、再び悪化します。これを何度か繰り返していました。吉兆が見られません。
私は患者さんの今後の長い生活を考え、一度、手術も含めて専門医と相談した方がよいのではないかとお話ししました。
鍼灸や脊椎矯正などで症状が改善することはあります。しかし、施術で一時的に良くなることと、椎間板や神経の状態そのものを正確に評価することは別です。
特に神経症状が続いている場合には、「施術で楽になるから大丈夫」と考え続けるのではなく、手術を行っている医療機関で改めて状態を確認してもらうことも大切だと考えています。
切れる専門医の判断を仰ぐのです。ここが大切です。
60代の患者さん
もう一人は60代の患者さんです。
この方は約20年前に、腰椎椎間板ヘルニアの手術を受けています。
今回は当院の施術によって症状が改善していました。
ところが、調子が良くなったため山登りに出かけ、再び症状が悪化してしまいました。
今回は、脊椎矯正、鍼灸、刺絡を組み合わせて施術しました。
現在は再び症状が改善しています。
ただし、このままずっと当院だけで施術を続ければよいとは考えていません。
今後の経過をみて、改善が続かない場合や神経症状が強くなる場合には、再び専門医の診察を受け、再手術を含めて検討する必要が出てくるかもしれません。
痛みが良くなったあとが大切です
今回のお二人には共通するところがあります。
「良くなったので動いたら、また悪くなった」という点です。
腰椎椎間板ヘルニアでは、痛みが軽くなってくると、つい以前と同じように動きたくなります。
しかし、痛みが軽くなったことと、身体が完全に元の状態に戻ったことは同じではありません。
特に長期間症状が続いていた方は、改善した直後に一気に活動量を戻すのではなく、身体の状態を確認しながら少しずつ戻していくことが大切だと思います。
手術を勧めることもあります
接骨院・鍼灸院というと、「手術をしないで治すところ」と思われるかもしれません。
しかし私は、手術をしないこと自体を目的にはしていません。
鍼灸や手技療法で改善が期待できる状態であれば施術します。
45年の臨床経験から、この辺りでこんな変化が出ると切らずに済むとかの判断ができます。
一方で、手術を検討した方がよいと考えられる患者さんには、専門医への受診を勧めます。
大切なのは「手術か、鍼灸か」という二者択一ではなく、その患者さんにとって、今どのような対応が必要なのかを考えることだと思っています。
しびれや脱力感がある場合は注意が必要です
特に気をつけたいのが、しびれや脱力感などの神経症状です。
痛みはお薬などで軽くなることがあります。しかし、神経への影響が長期間続いた場合には、原因に対する治療を行っても、しびれや筋力低下などが十分に回復しないことがあります。
そのため、症状が長く続いている場合や、しびれ・脱力感が強くなっている場合には、漫然と様子をみるのではなく、医療機関で詳しく診てもらうことが大切です。
元の記事でも書いたように、私がまず大切だと思っているのは、正確な診断を受けることです。
最後は患者さんご自身の人生設計です
検査を受け、現在の状態や治療の選択肢を理解したうえで、最終的にどの治療を選択するのか。
そこには年齢だけでなく、仕事、趣味、家族、これからやりたいことなども関係してきます。
30代の方には30代の人生があります。
60代の方には60代の人生があります。
山登りを続けたい方もいれば、仕事を優先したい方もいます。
だからこそ私は、単に「痛みが取れたか」だけではなく、その患者さんがこれからどのように生活していきたいのかまで考えながら治療方針を決めることが大切だと思っています。
腰椎椎間板ヘルニアも、何事もタイミングが大切です。
「禍福は糾える縄の如し」が人生です。良いことも悪いことも人生経験として乗り越えましょう。

