45年の臨床経験|観察から原因を見極め結果に導く

動眼神経麻痺による瞳孔散大、肩こり・背骨の痛みと高血圧―施術と医療機関受診を考えた症例

今回は、動眼神経麻痺による目の症状に加えて、肩こり、背骨の痛みなどを訴えて来院された患者さんについてご紹介します。

患者さんからは、次のようなご感想をいただきました。

「動眼神経麻痺、肩凝り、背骨の歪み、高血圧で治療をお願いしました。問診も時間をかけて下さり、鍼も丁寧でほとんど痛みもなく、説明しながら鍼を打ってくれるので、とても安心して治療を受けることができました。

鍼だけでなく整体など総合的な治療を受けることができ、とても満足しています。

目のぼやけ、違和感もなく、顔のむくみも取れ、スッキリした感じです。

血圧は、薬を飲みたくなかったので病院受診を控えていましたが、血圧が高い期間が長かったので、先生に診ていただいて病院に行く決心がつきました。

ありがとうございました。」

※患者さんの感想中の「整体」は、当院で行っている脊椎・骨盤矯正などの施術を指しています。

目だけでなく、肩こりと背骨の痛みも確認しました

この患者さんの場合、動眼神経麻痺による目の症状だけでなく、肩こりと背骨の痛みも訴えておられました。

私はこのような場合、一つの症状だけを見て施術方法を決めるのではなく、問診を行ったうえで、身体全体の状態を確認します。

目の症状があるから目の周囲だけ、肩こりがあるから肩だけ、背骨が痛いから痛い場所だけを施術する、という考え方ではありません。

今回も、目の状態とともに、肩や背骨の状態、姿勢や身体の動きなどを確認し、鍼治療と脊椎・骨盤矯正などを組み合わせて施術しました。

動眼神経麻痺による瞳孔散大に変化がみられました

特に注意して確認したのが、動眼神経麻痺に伴う瞳孔の左右差と瞳孔散大でした。

施術後に確認すると、来院時にみられていた瞳孔散大に変化がみられました。

患者さん自身も目のぼやけや違和感の変化を感じられ、大変喜ばれました。

肩こりや背骨の痛みについても施術前後の状態を確認しました。

ただし、ここは慎重に考える必要があります。

施術前後で瞳孔の状態や自覚症状に変化がみられたことは、今回の臨床で観察された事実です。しかし、この一例だけから「鍼や脊椎・骨盤矯正によって動眼神経麻痺が改善した」と医学的な因果関係まで断定することはできません。

また、瞳孔散大を伴う動眼神経麻痺では、その原因によっては頭蓋内の重大な疾患を除外する必要があります。

私はこのような神経症状がある場合、施術をすることだけでなく、必要な検査や医療機関での診察が行われているかを確認することを大切にしています。

もう一つ気になったのが、放置されていた高血圧です

今回、目や肩、背骨の症状とは別に、私が非常に気になったのが高血圧でした。

患者さんは「できれば薬を飲みたくない」という思いがあり、血圧が高い状態が長く続いていたにもかかわらず、医療機関への受診を控えておられました。

そこで私は、医師の診察を受けるよう強くお勧めしました。

高血圧は、自覚症状がほとんどないまま経過することがあります。しかし長期間の高血圧は、脳卒中、心臓病、腎臓病などのリスクと関係します。

「症状がないから大丈夫」ということではありません。

高齢になってから慌てるより、今から血圧を管理する

私は長年患者さんを診ていて、血圧については「もっと早く医療機関を受診しておけばよかった」ということにならないようにしてほしいと考えています。

年齢を重ねるほど、血圧だけを見て単純に判断するのではなく、起立時の血圧低下、ふらつき、転倒などにも注意しながら、その方の身体の状態に応じた管理が必要になります。

だからこそ、70代、80代になってから慌てて血圧を下げようとするのではなく、血圧が高いことが分かった段階で医師に相談し、適切な管理を始めておくことが大切だと考えています。

痛みを診ることと、病気を見逃さないこと

接骨院・鍼灸院には、肩こりや背骨の痛みなどを訴えて来院される方が多くいらっしゃいます。

しかし、痛みだけを診ていればよいわけではありません。

今回のように目の神経症状や高血圧などがあれば、それを肩こりや身体の歪みだけで説明してしまうのは危険です。

問診では、現在の症状だけでなく、既往歴、服用している薬、血圧なども確認します。その中で医療機関での検査や治療を優先すべきと判断すれば、私は受診を勧めます。

今回、施術後に目の症状や瞳孔の状態に変化がみられたことは、私にとっても興味深い臨床経験でした。

一方で、長期間放置されていた高血圧について、患者さん自身が「病院へ行こう」と決心されたことも非常に大切だったと思います。

鍼灸や脊椎・骨盤矯正などで対応する部分と、医師による診断・治療が必要な部分。この二つをきちんと区別することを、私は日々の臨床で大切にしています。

※本記事は一症例についての臨床経験を紹介したもので、同じ症状のすべての方に同様の変化が生じることを示すものではありません。瞳孔の左右差、急な眼瞼下垂、物が二重に見える、突然の激しい頭痛などが生じた場合には、鍼灸や手技療法を先に受けるのではなく、速やかに医療機関を受診してください。

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村坂 克之

小又接骨院・鍼灸院の院長です。鍼師、灸師、柔道整復師の国家資格にて治療を行っています。屋号の小又(こまた)は、先祖の小谷屋亦治郎(亦=又)に由来します。PC文字入力は親指シフト(orz配列)ユーザー。
詳しくは院長略歴をご覧下さい。