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理学療法士が開業する「整体院」とは? 国家資格と整体院での施術について

近年、「理学療法士(PT)が施術する整体院」「元理学療法士による整体」などの看板やホームページを目にすることが増えてきました。

理学療法士は、リハビリテーションの専門職として病院や診療所などで活躍する国家資格です。

そのため、

「理学療法士がやっている整体院なら、病院で受ける理学療法と同じなの?」

「理学療法士は独立して治療できる資格なの?」

と思われる方もいらっしゃるかもしれません。

しかし、「理学療法士という国家資格を持っていること」と「整体院を開業して施術を行うこと」は、分けて考える必要があります。

その整体院で国家資格に基づく「理学療法」を医師の指示なく行えることとは、別の問題です。

理学療法士は国家資格です

理学療法士は「理学療法士及び作業療法士法」に基づく国家資格です。

同法では「理学療法」を、身体に障害のある方に対し、基本的動作能力の回復を図るため、運動を行わせたり、電気刺激、マッサージ、温熱などの物理的手段を加えたりすることと定めています。

そして「理学療法士」については、厚生労働大臣の免許を受け、理学療法士の名称を用いて、「医師の指示の下に、理学療法を行なうことを業とする者」と定められています。

理学療法士の国家資格そのものには、理学療法士として独立した施術所を開設し、医師の指示なしに「理学療法」を業として行う制度は設けられていません。

つまり、法律上の「理学療法」は、医療の中で医師との関係のもとに位置づけられているものです。

理学療法士は整体院を開業できないのでしょうか?

ここは誤解されやすいところです。

理学療法士の資格を持つ人が整体院を開業すること自体が、直ちに違法になるわけではありません。

厚生労働省は2013年通知で、理学療法士が介護予防事業(デイサービス)などで、身体に障害のない方に対して転倒防止の指導など「診療の補助に該当しない範囲」の業務を行う場合には、医師の指示は不要であるとしています。

重要なのは、この通知が理学療法士に医師の指示なしで「治療」をする権限を新たに与えたものではないという点です。

また、そのような業務でも「理学療法士」という名称を使用すること自体には問題がないとされています。

したがって、

「理学療法士が医師の指示なしに何かを行う=すべて違法」

ということではありません。

健康増進、運動指導、介護予防など、医師の指示を必要としない活動もあります。

では、整体院で行う施術は「理学療法」なのでしょうか?

ここが重要なポイントです。

理学療法士が国家資格を持っているからといって、医療機関を離れて独立した整体院を開業すれば、国家資格に基づいて自由に疾病を診断したり、治療したりできる資格に変わるわけではありません。

法律上の理学療法士は「医師の指示の下に、理学療法を行なうことを業とする者」とされています。

一方、診療の補助に該当しない健康増進や介護予防などの活動については、医師の指示を必要としない場合があります。

つまり、

病院等で国家資格に基づいて行われる理学療法と、独立した整体院で行われる施術を、単純に同じものとして考えることはできません。

実際にどのような行為を行っているのかによって、その法的な評価も異なります。

「理学療法士だから安心」だけで判断しないことも大切です

これは理学療法士の知識や技術を否定する話ではありません。

理学療法士は、解剖学、生理学、運動学、リハビリテーション医学などを学び、国家試験に合格した専門職です。その知識や臨床経験が、医療機関以外での運動指導や健康増進などに役立つことも当然あるでしょう。

しかし、患者さんに知っていただきたいのは、

「国家資格を持っている」ことと、「その場所で国家資格に基づく医療・施術を行っている」ことは必ずしも同じではない

という点です。

「理学療法士監修」「理学療法士による整体」と書かれている場合でも、そこで提供されているサービスがどのような位置づけのものなのかを確認することが大切です。

柔道整復師や鍼灸師とは制度が異なります

柔道整復師、はり師、きゅう師も、それぞれ法律に基づく国家資格です。

ただし、国家資格だからといって、すべての医療系資格が同じ権限や業務範囲を持っているわけではありません。

医師、看護師、理学療法士、柔道整復師、はり師・きゅう師など、それぞれの資格について法律が定められており、その制度や業務の位置づけも異なります。

したがって、

「国家資格を持っているか」

だけでなく、

「どの国家資格を持ち、どのような制度のもとで、その施術を行っているのか」

まで確認することが大切です。

整体院を選ぶ際には資格を確認してみてください

「整体師」という名称そのものは、日本の医療系国家資格の名称ではありません。

一方、整体院を開業している方の中には、理学療法士、柔道整復師、はり師・きゅう師などの国家資格を持っている方もいます。

ですから「整体院」という看板だけを見て、その施術者の資格を判断することはできません。

施術を受ける際には、

「どのような資格を持っているのか」

「その資格は国家資格なのか、民間資格なのか」

「どのような施術を行うのか」

を確認してみることをおすすめします。

国家資格や施術所について疑問がある場合には、管轄の保健所に確認することもできます。

私の考え

私が問題にしているのは施術者個人の技術の優劣ではなく、身体に施術を行う際の資格制度と法的な位置づけが、一般の方には非常に分かりにくいことです。

「運転できる」と「公道を運転してよい」は別です

自動車を運転する技術があっても、公道を運転するには運転免許が必要です。

ところが身体に直接触れる施術の世界では、この線引きが分かりにくくなっています。

整体、もみほぐし、カイロプラクティック、○○療法などには、その名称で開業するための国家資格制度が存在しないものがあります。

一方、あん摩・マッサージ・指圧、はり、きゅう、柔道整復などには法律で定められた国家資格があり、免許が必要な業務を無免許で行えば処罰の対象となります。

つまり、

「無資格なら何をしても合法」ではありません。

同時に、

「国家資格ではない民間療法だから、すべて違法」ということでもありません。

法的な評価は名称ではなく、実際に何を行っているかによって異なります。

理学療法士などの国家資格について

理学療法士や作業療法士は国家資格ですが、国家資格を持っていることと、その資格に基づいて自由に独立開業できることは別問題です。

特に理学療法士について、法律上の「理学療法」は医師の指示の下に行うものと規定されています。

そのため、理学療法士が整体院を開業しても資格がなくなるわけではありませんが、

「理学療法士の資格を持っていること」と「そこで行う施術が理学療法士法に基づく理学療法であること」は分けて考える必要があります。

私が問題にしたいのは「誰が上か」ではありません

国家資格者だから必ず上手い、民間資格だから必ず下手だ、という話ではありません。

技術の巧拙(こうせつ)と、法律上の資格・業務の位置づけは別問題です。

大切なのは、患者さんが

  • どのような資格を持つ人なのか
  • 国家資格なのか民間資格なのか
  • その施術が法律上どのように位置づけられているのか

を理解したうえで、自分で選択できることだと考えます。

身体と健康に関わるサービスだからこそ、こうした情報を分かりやすく示すことが、健康被害を減らすためにも必要ではないでしょうか。

参考資料

※本記事は、特定の理学療法士、整体院、カイロプラクティック院、その他の施術者について、その施術の適法・違法を個別に判断するものではありません。個々の行為についての法的評価は、実際の施術内容や態様などによって異なります。

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この記事を書いた人

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村坂 克之

小又接骨院・鍼灸院の院長です。鍼師、灸師、柔道整復師の国家資格にて治療を行っています。屋号の小又(こまた)は、先祖の小谷屋亦治郎(亦=又)に由来します。PC文字入力は親指シフト(orz配列)ユーザー。
詳しくは院長略歴をご覧下さい。