60代女性です。変形性頸椎症、腰椎すべり症、右膝関節炎で大学病院に通院されています。患者さんの知人のご紹介で来院されました。
初検時の症状
いちばんつらいのは、手のしびれだとおっしゃいました。
夜間も1〜2時間おきに目が覚めるとのことです。日中だけでなく、睡眠まで奪われている状態でした。
大学病院では「頸椎が原因」との説明で、しびれ止めのお薬が処方されています。しかし、服用しても改善しないとのことでした。
診立て
私が診たところ、手根管症候群が主な原因です。
手根管症候群を特定する、ファレンテスト(Phalen Test)、ティネル様サイン(Tinel Sign)は陽性でした。
ただし、頸椎の異常も併存しています。頸椎からのしびれと、手首の手根管でのしびれが重なっている状態です。
こういったケースは珍しくありません。
頸椎に異常があると、そちらばかりに目が向きます。
しかし末梢の問題が同時に起きていることがあります。画像診断だけでは見分けがつきにくい。
丁寧に触診・検査して、どちらがどの程度関与しているかを見極める必要があります。
経過① 手のしびれ
まず手根管症候群に対して施術を行いました。得意です。
数回の治療で、夜もぐっすり眠れるようになりました。たいへん喜ばれました。
大学病院にご報告されたところ、「症状がいろいろ重なっているので、なんとも言えない」とのことでした。
頸椎の問題も残っていますが、手根管への治療が夜間のしびれに大きく効いたと判断しています。
経過② 膝関節炎
次に取り組んだのは、膝です。
何回目かの治療時に膝が凄く痛いと訴えられました。診たら水が溜まっています。水は抜きたくないそうです。
数年前から右膝に違和感が続いています。
右股関節を人工関節に置換されているため、膝への負担が増しているようです。以前に水を一度抜いたこともあるそうです。
症状は膝だけではありません。太ももから膝裏にかけての痛みもあります。
腰椎すべり症による神経への影響が、この痛みに関与していると思われます。膝の炎症と腰からの症状が重なっている状態です。
2回の施術で膝の水は消失しました。
ただし腫れはまだ残っています。腰椎への治療も並行して行いながら、症状の整理を続けています。
多彩な症状でも、原因は一つひとつある
このような方は少なくありません。
複数の診断名がついていて、どれが本当の原因かわからなくなっている。そういう状態で来院される方が多いです。
大切なのは、症状を丁寧に振り分けることです。
「頸椎があるから手のしびれは頸椎のせい」とは限りません。「膝が痛いから膝だけの問題」でもありません。一つひとつ確かめながら、本当の原因を突き止めます。
膝と腰は密接な関係です。卵とニワトリの関係です。どちらが悪くても両方治療しないと改善しません。
10回を超えて、全体的に症状が安定してきました。
複数の症状を長年抱えていても、あきらめないでください。一つひとつ、解いていくことができます。ご相談をお待ちしています。

