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飛騨医療センター構想——賛成です。でも寂しい。

令和8年6月12日の高山市民時報に、気になる記事が載りました。

高山赤十字病院と久美愛厚生病院の機能を一つにまとめる「飛騨医療センター構想」を、高山市長が明らかにしたというものです。

率直に言います。賛成です。でも、寂しいです。

令和8年6月12日の高山市民時報

時代の流れとして、避けられない

厚生労働省は2040年を見据えた地域医療構想の中で、急性期拠点病院は人口20〜30万人に1か所を目安とする方向性を示しています。

医療計画 |厚生労働省

厚生労働省の「新たな地域医療構想等に関する検討会」

人口20〜30万人に1か所の急性期拠点病院への検討(2040年に向けた全体スケジュール)

  • 2024年3月「2040年を見据えた新たな地域医療構想」の検討開始
  • 2024年12月中間とりまとめ
  • 2025年8月27日「20~30万人に1か所」の案を厚労省が提示
  • 2025年12月12日ガイドライン案で具体化
  • 2026年度から:各都道府県で協議開始(今ココ)
  • 2028年まで:急性期拠点病院を決定
  • 2035年頃:再編・集約化を一定程度完了
  • 2040年:新地域医療構想の目標年間

飛騨地域の人口を考えると、この構想はその流れに沿ったものです。

これは飛騨だけの話ではありません。全国の中山間地域で、同じような病院の再編が進められています。

医師不足・看護師不足・医師の働き方改革。各病院が何でもやるという体制の維持が、もう限界に来ています。それは否定できません。

「病院が二つある」より「質の高い急性期病院が一つ維持できる」こと。これからの飛騨にはそちらの方が重要です。だから賛成です。

飛騨地方の人口の推移予想

高山市: 78,561人、下呂市: 26,906人、飛騨市: 20,182人、白川村: 1,466人、合計で127,115人になります(岐阜県人口動態統計調査 2026年5月1日現在)。

国立社会保障・人口問題研究所(社人研)・JMAPが公表している地域別の将来推計人口をもとに、2040年の予測を計算すると、合計で約90,000人前後(現在の約3割減)にまで減少すると予測されています。

凄い勢いで人口が減少するようです。

注)JMAP(ジェイマップ)とは、Japan Medical Analysis Platform(地域医療情報システム)

高山赤十字病院の建て替えのこと

高山赤十字病院は建物の老朽化が以前から課題になっており、新病院の建設が検討されてきました。

ただ、これは「建て替えるか、やめるか」という単純な話ではないようです。

久美愛厚生病院とどのように機能を分担していくか、その中で建て替えの規模や内容を考えていく、という段階にあると思われます。

つまり、建て替えの話が止まっているように見えるのは、見送られたわけではなく「飛騨全体の医療再編の中で慎重に検討されている」ということだと思います。

ほんの数十年前の病院の風景

大昔、母や義母からよく聞かされた話があります。

当時の日赤病院では、病院の片隅に貸しコンロが置かれていて、付き添いの家族がそこで食事を作り、自分たちも食事を済ませていたそうです。

また、まだ完全看護の時代ではなかったため、家族が患者の世話をするのが当たり前でした。病室のベッドの脇には簡易ベッドが置かれ、家族がそこで寝泊まりしながら看病していたといいます。

さらに、輸血用の血液も現在のように十分な備蓄がなく、必要になると近所の人たちに声をかけ、同じ血液型の人に献血や輸血への協力をお願いしていたそうです。

今では考えられないような話ですが、ほんの数十年前までは、それが当たり前の医療の風景でした。家族や地域の支えによって、患者さんの命が守られていた時代だったのだと思います。

私が子供の頃、久美愛病院で、扁桃腺(口蓋扁桃)を重山昌喜先生(重山耳鼻科)に切ってもらいました。ザクザク切る音を今でも覚えています。目隠しのすき間から少し見えたので凄く怖かったです。

それでも、寂しい

当院に来られる患者さんの中にも、両病院で検査や治療を受けてきた方が多くいます。

私自身も、家族も、両病院に入院したことがあります。地域で暮らす者として、どちらにも世話になってきました。

私が開業した頃、飛騨にはもっと人がいました。町に活気がありました。「地域に病院がある」ことが、住民の安心そのものでした。

その時代が終わっていくのだと思います。それが寂しいです。

建物ではなく、医療を残す

しかし、嘆いていても仕方ありません。

大事なのは建物の数ではありません。必要な時に必要な医療が受けられること。それを次の世代に残すことです。

急性期が集約されれば、日常的な診療や慢性疾患のケアは地域の開業医の先生方が担うことになります。

大きな病院が担う医療と、市井(しせい)の先生が担う医療は別物です。それぞれが役割を果たすことで、地域の医療は成り立ちます。

飛騨の医療が、形を変えながらも次の世代へ続いていくことを願っています。

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村坂 克之

小又接骨院・鍼灸院の院長です。鍼師、灸師、柔道整復師の国家資格にて治療を行っています。屋号の小又(こまた)は、先祖の小谷屋亦治郎(亦=又)に由来します。PC文字入力は親指シフト(orz配列)ユーザー。
詳しくは院長略歴をご覧下さい。