45年の臨床経験|観察から原因を見極め、治療設計で結果に導く

六気と土用 — 季節の変わり目に体が崩れる理由

「土用の丑の日」という言葉は、どなたもご存知だと思います。

うなぎを食べる日として定着していますが、本来の「土用」はもっと重い意味を持っています。体調が崩れやすい季節の変わり目のことです。

今回は、その土用と「六気(ろっき)」の話をしたいと思います。

土用とはいつか

土用は年に4回あります。

  • 春の土用:4月17日〜5月5日ごろ
  • 夏の土用:7月19日〜8月6日ごろ
  • 秋の土用:10月20日〜11月6日ごろ
  • 冬の土用:1月17日〜2月3日ごろ

各季節の終わりの約18日間です。五行説の「土」の気が旺盛になる時期で、臓器でいえば脾・胃に負担がかかります。

消化器が弱りやすく、疲労が出やすい。昔の人はその時期に滋養のある食べ物を食べて乗り切ろうとしました。うなぎはその名残です。

六気とはなにか

東洋医学には「六気(ろっき)」という考え方があります。一年を6つの時期に分けたものです。

  • 初之気(しょのき):1月20日〜3月20日ごろ / 風の時期
  • 二之気(にのき):3月21日〜5月20日ごろ / 熱の時期
  • 三之気(さんのき):5月21日〜7月22日ごろ / 暑の時期
  • 四之気(しのき):7月23日〜9月22日ごろ / 湿の時期
  • 五之気(ごのき):9月23日〜11月21日ごろ / 燥の時期
  • 終之気(しゅうのき):11月22日〜1月19日ごろ / 寒の時期

各時期の気候(風・熱・暑・湿・燥・寒)は、体力のある人には養いの気になります。

ところが内臓や経絡に弱さを抱えている人には、これが「時邪(じじゃ)」という邪気になります。簡単に言うと、季節の気が病気の引き金になるということです。

土用と六気の違い

土用は「季節の変わり目に体を崩しやすい」という養生の知恵です。どちらかというと予防と食事の話です。

六気はそれとは違います。「いつ、どの臓器が、どの邪気に侵されやすいか」を体系的に示した治療の枠組みです。鍼灸では、この六気をもとに治療するツボを選びます。

たとえば終之気(冬・11月〜1月)は寒の邪気が腎を傷めやすい時期です。腰痛・冷え・むくみが悪化しやすい。この時期に湧泉(ゆうせん)というツボを使うのはそのためです。

崩れてからでは治療に時間がかかります

45年の臨床で気づいたことがあります。

季節の変わり目に「なんとなく調子が悪い」という状態を放置した患者さんほど、その後に大きく崩れます。逆に言えば、その「なんとなく」の段階で来院された方は、治療がよく効きます。

「土用の頃は疲れやすい」「秋になると腰が重くなる」「冬は冷えがひどくなる」——こうした毎年繰り返すパターンは、六気の視点で診ると原因がはっきりします。

パターンが見えれば、対処できます。

体が崩れる前にご相談ください。来院をお勧めします。

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村坂 克之

小又接骨院・鍼灸院の院長です。鍼師、灸師、柔道整復師の国家資格にて治療を行っています。屋号の小又(こまた)は、先祖の小谷屋亦治郎(亦=又)に由来します。PC文字入力は親指シフト(orz配列)ユーザー。
詳しくは院長略歴をご覧下さい。