10月初旬に、トレーニング終了後に右膝から右股関節に痛みが出てきたそうです。
経過
整形外科を受診され、諸検査の結果、骨や腱靱帯、軟骨には異常は無いとの診断です。
運動の休止の指示と、痛み止めと湿布が処方されました。
2週間経過し、運動を再開したら痛みがやはり出てきて、当院へ来院されました。
症状
まず股関節へのストレステストを実施します。
すると、右のそけい部に痛みが誘発されました。左側は正常です。これは仙腸関節の副運動(関節の遊び)に異常が有る証拠です。
この関節面の異常はMRI撮影を行っても出ません。レントゲンでも出ません。
走れるのですが、運動終了後に痛みが出ると言われます。
施術
初回は仙腸関節の矯正法マニュピュレーションを行い,80%の症状取りました。
副運動とは関節の遊びのことを言います。車のハンドルの遊びと一緒で無いと不具合が出ます。
無くてもダメですし、有り過ぎてもダメです。過ぎた可動性は元には戻りません。
女性でヨガで股関節を柔らかくするのがありますが、余計に痛みを助長する場合があります。
2回目来院時、ほぼ痛みが出なくなったと言われましたが、検査をすると引っかかりがあります。症状以前の問題です。これが大事なのです。
既に足の運びのクセがつきかけているので、鍼を用い経絡の流れを整えてクセを解消しました。
経絡とはツボの流れです。
漢方東洋医学で、血液神経リンパ以外の流れを指します。この流れが悪いと足の運びとかが悪くなります。
施術直後に股関節の引っかかりが全て無くなり、完全に健側と同じになりました。
これで、より一層走れて力が入るようになります。めでたし。
保護者の質問
「なぜこのような痛みが出るのですか?」との質問を頂きました。
成長過程で、骨盤の仙腸関節も成長するのですが、この関節の関節面は複雑で直ぐ引っかかりが出て、子供により、踵や膝やスネや股関節に痛みが出ます。
就寝時の寝返りで通常は開放され、引っかかりは解消されますが、取れないお子さんは成長痛などと言われて痛みを引きずります。
運動されているので余計に引っかかりが助長される場合があります。患者さんはこれに相当しました。
実は、大人でも仙腸関節の引っかかりは多数存在して、腰、股関節、膝、足首、首など色々な症状を引き起こしています。
成人前なら1.2回で治りますが、大人の場合は数回以上必要となり、高齢者の場合は、腱や靱帯が固いため鍼灸の併用が必要になります。
ただ、この病状を判断できる術者も少ないのが実情で、的外れな治療をしいてる場合が多く見られます。