7年前からの頸椎椎間板ヘルニア、飛騨地方(高山市・飛騨市・下呂市・白川村)の患者さんです。
要約
首の痛みと、動き、指のしびれを持つ患者に対する3回の鍼灸と矯正法マニュピュレーションについて経過です。
1回目の施術後、痛みやこわばりが軽減されたので、患者さんは大きな安心を感じられました。
2回目の施術で、後頭骨と頸椎1番の矯正法マニュピュレーションも合わせて行い、可動性が一層改善されました。腰にも過去、腰椎の椎間板ヘルニアの既往があり一緒に治しています。
3回目の施術で、患部が頸椎5/6番と特定できました。より正確な施術ができ、術後の状態が改善しました。
症状
7年前に発症した頚椎ヘルニアで、整形外科の治療を受けられました。
まあまあの状態になり、症状はあるけど日常生活は過ごせるという状態になりました。
ところが昨年末から症状が悪化し、再び整形外科を受診されレントゲン検査やMR検査を行いました。
前回と同じ場所の頸椎椎間板ヘルニアだそうです。
ヘルニアあるあるです。
患者さんの記憶が曖昧なので分かりませんが、好発部位の頸椎4.5.6番の間と推定します。
痛み止めやしびれ止めが処方され、リハビリに通われました。
リハビリで電気とマッサージの施術を受けられ、少し全体がふわっと良くなるけど、肝心な1番つらい場所が全然変わらないと言われます。
しびれ止め(リリカ)も眠気が強く出て就寝時のみにされましたが、それでも車の運転や仕事に支障が出るので中止されました。
賢明な選択だと思います。
しびれ止めは、発売当初、奇跡の薬の如くもてはやされましたが、やはり現在見直されて、処方量や処方自体が見直されてきました。
プレガバリン(リリカ )やミロガバリン(タリージェ)は、帯状疱疹には良く効きます。
癌性の痛みに効くとの報告もあるので、患者さんは副作用が無く効果があれば続けても良いし、効かないのなら効かないとハッキリ言わないとずっと処方されますから注意して下さい。
効かない薬ほど無意味なことはありません。お薬はオマケではありません。体の毒です。
施術計画
第一段階として、鍼灸で患部の血流や、関連する筋緊張を緩和し、筋膜の滑走不全を改善して、矯正法マニュピュレーションで椎間関節の動きを回復させます。
初検(1回目)
結果、徒手検査では神経学的なヘルニア症状は無く、症状の有る方の神経反射が、ちょっと低下しているかなという程度で、問題はありません。
頸椎の動きも問題ありませんでした。
問題がなさ過ぎて、おかしいなーと一瞬思ったわけです。
当日はすごく混んでたので、治療計画をザックリお話して、まず鍼灸療法に基づく施術を行います。
現在の当院の考えですと、頚椎ヘルニアは、頚椎自体の問題が当然ありますが、手先の問題もあると考える施術を行います。
中枢と末梢の関連です。
悪い側の手先に反応が出ます。
鍼灸療法が終わった後、頚椎と胸椎の脊椎矯正を行います。
そうしたらやはり、最初のMotion palpation(モーションパルペーション)のときに感じた、違和感の原因がわかりました。
頸椎1番に原因が
頚椎ヘルニアがあれば、当然、好発部位の頸椎4.5.6番の間に、椎間関節の動きの引っかかりがあるんですが、全く無いのです。
その原因は頚椎1番にありました。左方側方変位(ASL)と後方変位(ASLP)の中間です。
これほどの癒着はたいへん珍しいです。
ズレと言われるサブラクセーション(subluxation)よりも、関節面や関節自体の固定化、癒着化すなわちフィクセーション(fixation)が、痛みやしびれの症状の原因になります。
残念ながら、ポキポキ矯正をして治ることはありません。気持ちが良いだけです。
頚椎1番の矯正に手こずりましたが、少しだけ可動性が出できたので、本日はここまでとしました。
後、全体の後頭骨から胸椎1番までの、頚椎の動きを補正したわけです。
7年以上、癒着化していたのですから1回では治りません。
小指のしびれは頚髄8番、頸椎7番下が原因ですが、これは今後の経過次第で判断します。
治療後の頚椎の動きは、ずいぶん改善されました。
再検(2回目)
2回目の施術です。
前回の後、長年、調子が悪いときに首を取ってしまいたいほどの痛みやコリ感が凄く楽になったそうです。
患者さんも初検時の緊張が取れたのか、これこれしかじかと、追加情報を色々話してくれます。
調子が悪い時には御主人にマッサージをしてもらいやり過ごしているそうですが、もっと悪くなると首に腫れる場所があると言われます。
これは首の悪い人に見られる現象です。その場所は負荷の掛かる場所で矯正ポイントでもあります。
今回は、鍼灸に加えて、後頭骨-頸椎1番の関節(環椎後頭関節 atlas-occipital joint)の矯正を行います。専用器具を使用します。
無事矯正が終わり、頸椎1番の動きをみると、今までしぶっていた動きが、ようやく動き出しました。
7年間もつらかったと思います。
過去、腰椎もヘルニアが
頸椎の椎間板ヘルニアヘルニアがある患者さんは、腰椎の椎間板ヘルニアがある場合が大変多いのです。
この患者さんも、7年前の首のヘルニアの発症以前に、腰の椎間板ヘルニアを発病しています。
それをかばうために、首の椎間板ヘルニアになったとも言えます。
体の歪みのバランスを取るために、最終的に頚椎一番と後頭骨の関節に無理がかかり、現症状として出てきたというわけです。
腰の仙腸関節の動きを検査したら、やはり異常が出たのですが、患者さんは右側の仙腸関節に異常がありました。首は左側です。
同側に現れる人と対側に現れる人がいます。
仙腸関節と腰仙関節の矯正をし腰の状態も正常になりました。
三検(3回目)
症状は10の痛みやしびれが8になったそうです。(VASスコア10→8)
ようやく、MRI画像を持参して頂けました。
頸椎5番6番の間のヘルニアです。その頸椎の椎間関節の動きが出るように、鍼灸と矯正法マニュピュレーションを行いました。
今までで1番結果が良かったです。手の小指のしびれも少し和らぎました。
小指は頸椎5番6番の神経とは関係ないのですが、腕神経叢で頸椎の神経は複雑に絡み合いますから、このような症状が出ます。
見通し
多分10回以上はかかると思いますが、長年の症状は解放されると思います。
当院に縁があり良かったと思います。
改善しても安心はできません。患者さんの弱点としてヘルニアは存在します。
症状が出たら早目の施術をすれば、快適に過ごせると思います。