村上宥快和尚さん【1918年(大正7年)10月8日〜1991年(平成3年)3月12日・享年72歳】のお話をまとめました。
仏教関連の雑誌や新聞への投稿記事です。
昭和62年(1987年)「今年、私はこれをやりたい」投稿記事より。
八正道の実践存続の方法を伝える
長い年月抱き続けてきた生命に対する疑問も解け、宗教の実践、その修行の方法を生活の中に生かすことが可能となり、一昨年、昨年と、「調和への道」と「心と行い」との二冊を刊行することが出来ました。
この二冊は仏法の実践を通じて書き出された記録で、それだけに、寺院住職の方々には特に関心を持たれ、また、在家篤信の人びともお読み下されました。特に「心と行い」は一冊目より読み易く理解し易いとの好評をいただき、今なお注文をいただいております。
『八正道-仏祖釈尊の根本の教え』をどのように活用するのか、多くの人々に知られていなかったようです。勿論、実践をするのにもアドバイスを受けなければ、本を読んだり話を聞くだけでは、なかなか心にしっくりと来ません。問題が日常生活が土台であることと、心が原点であるだけに。
荒行とか、在来の坐禅の修行とか、加行(けぎょう)とか回峰行(かいほうぎょう)のような肉体に対する厳しさというより、貪瞋痴(とんじんち)の心の在り方が重点ですから、三毒という考え、惑(あるい)は己の心を呵責(かしゃく)することでもないのです。
また、自己に対する卑下や自己嫌悪でもなく、八正道に照らして悪いところは総て修正する以外にないのです。それに必要なことは勇気と智慧と決断が要求されることです。
さまざまな人びとが私のところに尋ねて来られ、研修をしますが、一度ぐらいでは身につきません。軌道にのるまではかなり時間がかかります。
仏法の教えは簡単でありますが、心の修正となると忍耐がいるものです。業(カルマ)の修正はマンネリ化してをいるだけに、欠点発見には相当工夫もいるわけです。
理解実践が出来るようになると、こんな素晴らしいことはありません。
肉体行で得たものとは雲泥の相違であります。
その意味でこの八正道の実践存続に力を入れ、この方法を皆様にお伝えするためにも、今年は研修会などを少しでも多く開きたいと存じます。