骨折治癒後、1年以上経過しています。
就業されていますが、夕方になると踵の痛みがひどくびっこを引きます。(びっこは分かりやすい表現のため使用しています)
何とかなりませんかと、勤務先の社長さんから相談がありました。
踵骨骨折
世界標準のメルクマニュアルには
骨折の分類(sanders分類)
引用:Sanders CT classification of calcaneal fracture | Radiology Reference Article | Radiopaedia.org
踵骨骨折の問題
仕方ない面もありますが、とどのつまり、整復してもベーラー角が正常に戻らない実情があります。プライス角は正常に戻る場合が多いです。
Image: ベーラー角 – MSDマニュアル プロフェッショナル版
原因
長引く踵の痛みは、仙腸関節の機能異常が原因になります。
ベーラー角の異常でこのような痛みは出ません。
これを、当院の解剖運動学に基づく矯正法(複合矯正術より)を用いて治します。
それと合わせて、アクティベーター・メソッド(複合矯正術より)にて関節面の修正を行います。回復していない関節面の可動性を出してゆきます。
治療
この患者さんも、仙腸関節の負荷テストで異常が出ました。
仙腸関節への解剖運動学矯正法や腸腰筋修正で回復させます。仙腸関節の動きの修正のみでは不十分です。
開排運動も正常になりました。股関節のFadirf・Fabere(Patrick)テストも正常になりました。
Fadirf(ファダーフ)テスト=膝屈曲位、股関節90度屈曲、内転、内旋、屈曲。
Fabere(ファベレ)テスト=膝屈曲位、股関節90度屈曲位、外転、外旋、伸展。
筋トレ
患者さんは、過去の痛みのために特異な歩行を体得しています。
下腿筋が弱くなっていて、調べるとヒラメ筋が極端に弱くなっていました。
それを強化する運動と、一旦足指が弱くなると、どれだけスクワットをしても下半身の筋肉は付きませんので、当院開発の村坂ゴムバンド足指強化法を先に行って頂きます。
ここで腓腹筋の弱体と間違えて、カーフレイズを一生懸命行っても何も効果が出ません。(このような間違った指導が大変多い)
仙腸関節の機能異常は再発する
機能異常は再発を繰り返すので、2週間から月に1回程度の解剖運動学矯正法は必要になります。
順次、関節面が正常になれば不要になります。
ご本人もご家族も無理かと諦められていましたが、良好な結果を得られて喜んで頂けました。