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有痛性分裂膝蓋骨、最善最速の治療法は運動の完全休止、運動しながら治すのは難しい

 

病態

膝蓋骨(膝のお皿)に痛みが出る症状です。検査で分裂した膝蓋骨の所見を得ます。

成長期10〜15歳の男子
頻度は0.05〜3.6%

ゴーストップの多いスポーツを行う、サッカー・バスケット・野球・卓球など

発症するお子さんの特徴

競技やエクササイズ時の足裁きがドタバタしている。

下肢筋力が比較的弱く、ゴーストップの衝撃を膝で受け止めてしまう。

有痛性分裂膝蓋骨の分類

Saupeの分類
Ⅰ型:膝蓋骨下極の水平分裂 5%
Ⅱ型:膝蓋骨外側の垂直分裂 20%
Ⅲ型:膝蓋骨上外側の斜方分裂 75%

膝蓋骨の上外側を痛がるケースが多いです。

診断は

レントゲン検査・MRI検査・CT検査になります。

通常の治療や指導は

良くあるのは、痛くなったら休み、痛みが治まったら運動を再開するという指導です。

運動の実情をご存じない先生なのでしょうか。

間違いでは無いですが、いつ治るのか分かりません。

そのうち治りますでは困ります。

テーピングやサポーター

テーピングでなんとかしたいという質問が多いです。

大腿外側広筋が膝蓋骨を引っ張り発病し悪化する(裂離骨折)のですが、テーピングで患部が安静に保たれ競技を続けて行くのは考えにくいです。

大腿外側広筋は人体で一番大きな筋肉で筋力も凄く強い筋肉だからです。

テーピングの特徴として、当初は一瞬良くなりますが、結局運動負荷を掛けすぎて悪化させます。

サポーターも症状に合っているのを着けていても、運動を継続していては何もなりません。

最速で治る治療は

3・4ヶ月(90日〜120日)の完全安静・運動中止です。

病状が軽ければ、2ヶ月(60日)での復帰も可能です。

早く治したいのなら、たとえ程度が軽くても、過度の体重負荷は好ましくないので体育の授業は見学になります。

松葉杖を使っての免荷が必要かは主治医の判断によります。

骨はちゃんと引っ付くの?

子供は骨の形成能力は盛んなので、キレイに引っ付いて治ります。(癒合)

もっと積極的な治療は

経皮的(けいひてき)ドリリングと言う、膝蓋骨の分裂裂隙にニードルを刺して積極的に仮骨(かこつ)形成を引き出す治療があります。経皮的ドリリングを行う愛知県内の先生へのご紹介は可能です。経皮的ドリリングは全国の膝専門医で実施していますから相談されると良いです。

正しい安静状態を作るためギプス固定を行う先生もいます。
有痛性分裂膝蓋骨に対する骨癒合を目的とした保存療法 | 古東(ことう)整形外科・内科
有痛性分裂膝蓋骨を裂離骨折と考えられ、1-2ヶ月のギプス固定や、ギプス固定後にニーブレースを装着させて、素晴らしい成果を上げておられます。

事実として

運動しながらと言う甘い希望は捨てて下さい。

安静が1番効果のある治療になります。

安易な気持ちで運動を継続すると治りません。

テーピングをしてもダメです。固定の強いサポーターもダメです。一時は楽になりますが再び悪化します。

運動能力の低下は

運動能力の低下が心配でも運動はダメです。若年者は治ってから運動再開すれば直ぐに元に戻ります。

間違えていけないのは、当初は完全に運動は中止となります。

最低でも約60日間・2ヶ月くらいは中止です。

意外な盲点は

症状のあるお子さんの能力以上のシューズを履いている場合が多いです。

プロ用・上級者向けのシューズが膝の負担を増やしています。

靴紐がゆるいのも膝の負担を増やします。

しっかり休んで早期に復帰!

どうしようと考えていると、あっという間に2週間(14日)くらい経ってしまいます。

人数がギリギリで、お子さんが休むと試合ができない実情があると、難しい場合が多いですが、結局、休んだ方が早く治ります。

部活動を休むのは辛いですが、痛みを我慢して変なフォームを身に付けても結局ものにならないのでダメです。

運動をやらせながら「もう少し様子を見ましょう」と言う判断は、本当にその子の早期復帰や未来を考えているのでしょうか。

しっかり休んで治すという引導を渡すのが私たちや指導者の役目と考えます。

活躍する選手と休んでる選手とのチームワークが本当の勉強だと思います。

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この記事を書いた人

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村坂 克之

小又接骨院・鍼灸院の院長です。鍼師、灸師、柔道整復師の国家資格にて治療を行っています。屋号の小又(こまた)は、先祖の小谷屋亦治郎(亦=又)に由来します。親指シフトユーザー。
詳しくは院長略歴をご覧下さい。