遠方からの来院ありがとうございます。愛知県からお越し下さいました。
全国大会にも出場されるバトミントン選手です。
試合が続くので、金曜日に予約され土曜日に来院されました。
STT関節症とは
STT関節の正式名称は「舟状大菱形小菱形骨間関節(Scapho-trapezio-trapezoid joint)」といい、この関節で見られる変形性関節症をSTT関節症といいます。
- 大菱形骨(だいりょうけいこつ)Trapezium
- 小菱形骨(しょうりょうけいこつ)Trapezoid
- 舟状骨(しゅうじょうこつ)Scaphoid
来院までの経過
STT関節症は2018年6月に発症しています。
大学病院へ通院されていて、ステロイド注射(ケナコルト?)で1.2ヶ月は調子が良いそうです。
学生時代は器械体操を行って、当時、腰椎分離症の疑いがありました。
左アキレス腱切断を4.5年前に、いまだに左下腿筋に違和感があります。
腰痛、右膝外側広筋付着部に痛みがあります。
当院のブログ記事を読まれて来院を検討されました。
初検の状態
問診するとこんなに症状があります。
STT関節症、背屈位尺側手関節痛、右膝関節痛、腰痛、両股関節痛、左下腿部痛。満身創痍です。
STT関節は注射が奏功し強い痛みはありません。
バトミントンのレシーブで関節に響くような痛みがあります。それが辛いそうです。
プレー中、手首を背屈位にしたカット返球するときに、尺骨側背側に痛みを感じます。
股関節の開排運動で強い痛みが誘発されます。
腸腰筋に異常な圧痛があります。
断裂を起こした左アキレス腱部は触れると痛みがあります。
大腿四頭筋の発達が素晴らしいです。
症状から原因は
STT関節症があり、背屈位にて尺骨側に痛みが出る場合で、このまま放置するとTFCC損傷三角線維軟骨複合体損傷に移行する場合がありますから、早期に来院されて良かったと思います。
股関節の開排痛や腸腰筋に異常な圧痛があるのは、長年の腰痛が原因です。
その腰痛をかばうために大腿四頭筋が異常発達しています。この状態での全国出場されているので競技素質が良いと考えられます。
アキレス腱切断の手術部位の痛みは、よくある手術後の癒着です。これは簡単に取れます。
右膝の大腿四頭筋外側広筋付着部の痛みは、左アキレス腱切断後の足の踏ん張りを出すための代償です。
腸腰筋の緊張が解消されれば無くなります。
STT関節症があるので、前前腕筋の異常緊張、手指筋の異常緊張は当然ありました。
治療
以上の症状に対して統合的に治療を行います。
患者さんは手首の痛みが一番辛いのですが、根本原因は土台の腰や足指にありました。
手指や前前腕筋のストレッチ
STT関節も母指CM関節も、元の原因は手指関連の筋や腱の異常緊張が原因なので、自己リハビリとしてやって頂きます。
患者さんは、手首はまだしも手指が異常に硬い状態で、指摘されるまで気づきませんでした。
カット返球時の背屈時の痛み
通常は手関節副運動を回復させれば減少するので実施しました。
しかし変化がありません。
単なる腱の痛みと考えレーザー光線治療で痛みは無くなりました。
足指の強化が必要
足指を強化するには、村坂ゴムバンド足指リハビリが必須となります。その説明をしたら、子供の頃、浮き指だったそうです。
大腿四頭筋の発達も、原因は足指が働いていないための代償です。今でも地面を握りしめる力が弱いです。
足指が動くようになると競技成績も向上するはずです。
あともう少しに手が届き、足さばきももっと動けるようになります。
運動選手には足指強化トレーニングは必須だと思います。
自己チクチク療法
日々、STT関節症の痛みのコントロールに最適です。痛み止めのお薬も不要になる場合が多いです。
アキレス腱切断のよくある手術後の癒着は、自己チクチク(長田式無血刺絡療法=チクチク療法の自宅療法)で改善します。驚くほど効果が出ます。
関連痛の問題:解剖運動学矯正法と腸腰筋治療
解剖運動学矯正法と村坂腸腰筋治療(仮)にて、完全に股関節の動きは回復し痛みも消失しました。
この手技をできる人が居ないので、現在は来院して頂くしかありません。
STT関節症もアキレス腱切断後痛も関連痛は仙腸関節と腸腰筋が基本です。
回復には30代の若さも大いに役立っています。
アキレス腱痛の関連痛
STT関節症の関連痛(母指CM関節症と同じ)
手首の負担は全身状態の結果と考えています
STT関節症も母指CM関節症も、全身状態の結果です。
今回の患者さんも、股関節の可動性や動的安定性が出でくると、自然に手首の負担も減ってきます。
今後
今後は、通院されなくても自己リハビリで十二分に改善します。
積極的に改善したい場合は通院が必要となります。