遠方からの来院ありがとうございます。東京都から高速バスで来院されました。
7月豪雨で交通網不通となり来院できなくなり、ようやく実現しました。
ベーカー嚢胞の解説
世界標準のメルクマニュアル
ベーカー嚢胞 – 08. 骨、関節、筋肉の病気 – MSDマニュアル家庭版
メイヨークリニック
Baker's cyst – Symptoms and causes – Mayo Clinic
ウィキペディア
Baker's cyst – Wikipedia
(英語なので機械翻訳使って下さい)
イメージ図
来院までの経過
患者さんからのレポートです。抜粋転載させて頂きます。
15年前、右膝半月板損傷で手術。
10年前からの坐骨神経痛。
4年前に悪化し趣味のゴルフを止める。
病院にて第4腰椎すべり症による脊柱管狭窄症の診断。
手術をすれば改善するがゴルフはできなくなると言われる。
手術を保留し、整形外科連携のスポーツジムに入会し、ATC(NATA公認アスレティックトレーナー)に指導を受ける。
徐々に改善し歩けるようになってきた。
べーカー膿腫の現状
右膝裏側、4~5年前、16~20CC(3~4回抜いた)
左膝裏側、4ヶ月ほど前、45CC(5月に1回抜いた)
現在はゴルフは月3回可能なれど、開始前にボルタレン座薬を使用。
セレコックス、リリカを服用中。
ベーカー嚢胞は、整形外科医に聞いても仕方が無いと言われあきらめていたそうです。
脊柱管狭窄症も筋トレのおかげで悪化していないそうです。
初回の状態
ベーカー嚢胞は、右縦横3×3㎝、左縦横8×6㎝の大きさです。左が巨大です。
両足O脚変形もあります。右が半月板手術をしているので変形度合いが大きいです。
数年に渡るトレーニングのおかげで、筋肉は十分保持されています。素晴らしいです。
ブログ記事を見て、既に「村坂ゴムバンド足指強化法」は実施されています。
フーシェ徴候も陽性
Foucher’s sign: The cyst becomes hard with knee extension and soft with knee flexion;
フーシェの徴候:嚢胞は膝伸展位では硬く、膝屈曲位では柔らかくなります。
立位で嚢胞の圧が減ったかが治療効果の判定になります。腹臥位での判定はダメです。
1回目の治療
ベーカー嚢胞の原因である、関節包の逆止弁が少しでも開くようにすれば、後は自己リハビリで小さくなると私は考えます。
ベーカー嚢胞になる原因は半月板変形であり、この患者さんは手術もしていますし、O脚が大きな原因です。
関節変形度合いの強い右膝の嚢胞が大きい思いましたが、左膝の関節液の交通ができなく嚢胞が大きいです。
関節液の促通状態は変形度合いと比例していません。
当院開発のベーカー嚢胞の治療を行います。
小さい嚢胞は縮小するが、大きいのは変化無し
特殊手技を用いて嚢胞を小さくします。右3×3㎝は縮小し、立位でも消失しました。
大きい嚢胞はびくともしません。困りました。
2回目の治療
2回の治療が行えて幸いでした。
両膝とも元に戻っていますが、逆止弁が開くクセを付けることが大切です。
左の巨大な嚢胞へ次の手段を用います。当院開発の鍼治療を行い、嚢胞の逆止弁を柔らかくなるように誘導します。
想像以上に関節包が固くなっていましたので難渋しました。
巨大な嚢胞も少し縮小する
特殊鍼治療と特殊手技を使い、巨大な嚢胞も少し縮小しました。
この少しの縮小が呼び水となり、改善のきっかけになります。
逆止弁が開けば良くなる
ベーカー嚢胞も、少しでも逆止弁が開いて関節液の促通ができれば、後は自己リハビリで良くなります。
嚢胞の小さくなる度合いは、どうしても個人差があります。
自己リハビリ
自己リハビリの肝である膝関節の隙間を広げる方法を学んで頂きます。コツがいるので対面で指導しています。
患者さんは、年齢にそぐわないほどの足指の筋力がありました。
しかし、足の2-5指にかけて段々弱くなっています。これが脊柱管狭窄症の症状を悪化させている一因です。
正しい村坂ゴムバンド足指強化法を学んで貰います。
ご自宅で一生懸命やって頂き、O脚が改善されれば、脊柱管狭窄症もベーカー嚢胞も順次改善されると思います。