44年の臨床実績 結果を出す手技治療

骨盤矯正の難しさ:PI(後下方)とAS(前上方)、さらに仙腸関節の動きが加わるから

骨盤矯正「痩せる」「産後は必要」はウソ

「骨盤矯正で痩せる」「産後矯正は必須」といった宣伝を見かけますが、これは誤解です。信じて高額な施術を受ける必要はありません。

確かに妊娠中に腰痛が出る場合は、仙腸関節の異常ですから仙腸関節の矯正が必要です。

出産後に恥骨結合が多少ずれても、基本的に問題はありません。それほど女性の身体は丈夫にできているのです。

ただし産後は体調や体質が変わるため、そこにつけ込んで「矯正が必要」と巧妙に誘導されてしまうケースが多いので注意が必要です。

男女で違う骨盤の特徴

  • 女性は骨盤が上方に開いているため、O脚になりやすく、加齢とともに膝や股関節に障害が出やすい傾向があります。
  • 一方、男性は骨盤が立っているため、力が出やすい代わりに脊柱へ負担がかかり、加齢とともに脊柱管狭窄症を発症しやすくなります。

骨盤矯正はなぜ難しいのか

腰痛や背部痛に対して骨盤矯正は有効ですが、難しさの本質は「骨盤そのもの」と「骨盤と背骨をつなぐ仙腸関節」の両方を正しく矯正する必要がある点にあります。

  • ドロップベッド矯正は、筋肉が柔らかい欧米人には効果的ですが、筋肉が硬い東アジア人には成功しにくいのが現実です。またやり過ぎて過可動性を引き起こしてしまう術者もいます。
  • ある程度の力技も必要となり、骨盤の後下方(PI:posterior inferior)前上方(AS:anterior superior)の矯正を行う必要があります。
  • 外方や内方はほとんど影響がありません。
  • AKAなどの成書にある「仙腸関節の下部の滑りや離開」だけでは実際の動きが出ず、実際の臨床では独自の工夫や手法が欠かせません。
  • 下肢脚長差検査(足の長さの検査)がありますが、股関節の捻れを取らないと骨盤の変位は正確に出ません。

仙腸関節

首と横隔膜の関連

それに加えて首(頸椎)との関連があります。 横隔膜の動きも加わり、特定のテストで関連性を見つけます。

単純な肩こりでも、腰が関連している人と関係無い人がいるので、だれでも骨盤に異常があるわけではないのです。

矯正後の変化と年齢の影響

正しく矯正できれば「嘘のように楽になる」ことも珍しくありません。

ただし60歳を超えると関節自体の可動性が低下するため、若い世代ほどの速効性は期待できません。

そのような場合でも、ソマニクス®などの補助的な手技を活用することで、骨盤矯正の効果を高めることが可能です。

女性で骨粗しょう症の有る人は、矯正自体行うことはダメです。

まとめ

「骨盤矯正で痩せる」「産後矯正が必須」といった宣伝は誤解ですが、腰痛や機能改善のための正しい骨盤矯正には確かな価値があります。

ただし、それには骨盤+仙腸関節という複雑な調整が必要であり、決して簡単なものではないのです。

巷の整体院では無理だと思います。そもそも整体師という国家資格はありません。

信頼する人の紹介だと騙されるのは、何時の時代も変わりませんね。

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村坂 克之

小又接骨院・鍼灸院の院長です。鍼師、灸師、柔道整復師の国家資格にて治療を行っています。屋号の小又(こまた)は、先祖の小谷屋亦治郎(亦=又)に由来します。親指シフトユーザー。
詳しくは院長略歴をご覧下さい。