VOAがトランプ政権によって廃止されました。イーロンマスク率いる政府効率化省の活動の一環です。
トランプさんは嫌いではありませんが、気に入らないことを報道したといっても、ここまでやらなくてもと思います。
気に入らないヤツほどそばに置く、肝の大きさを示して欲しかったですね。
政府の弾圧が続いている中国、北朝鮮、アラブなどでは、VOAが「一条の光」となっているそうです。
ナチスドイツへのプロパガンダも行っていたのです。
VOA – Voice of America English News
VOAとは
Voice of America(アメリカの声) は、アメリカ政府が運営する国際放送機関で、1942年に設立されました。
目的
- 正確で客観的なニュースを、アメリカ国外の人々に届けること。
- アメリカの価値観・社会・政治について、自由で開かれた報道を通じて紹介する。
特徴
- 49の言語でニュースや番組を配信。
- テレビ、ラジオ、インターネット、SNSを活用。
- アメリカ国内では放送禁止(法律で定められている)。
- 週3億6,000万人以上の視聴者・聴取者がいる。
- 信頼度が高く、86%が「信頼している」と回答(国際調査より)。
活動の例
- 北朝鮮:市民がVOAを通じて自国の強制収容所などの現実を知る。
- 中国:天安門事件、新型コロナ発生など、国内で報道されない事実を伝える。
- イラン:2009年の民主化運動を支援し、言論統制に対抗。
- ロシア:ウクライナ侵攻の真実を伝え、国営メディアのプロパガンダと対抗。
編集の独立性
- VOAの記者は、どの政権からも干渉されずに報道する「編集の自由(firewall)」を持っている。
- 政府の意見ではなく、「アメリカ社会の実像」を世界に伝えることが使命。
一言で言うと:
VOAは、自由と真実を世界に届けるアメリカの公式メディアであり、言論が制限された国々にとって「外の世界」を知るための重要な窓口です。
活動の詳細
Voice of America(VOA)を通じて自国の現実に気づいた具体的な例
1. 北朝鮮の例:
VOAの記者 スティーブ・ハーマン は、以下のように語っています:
「北朝鮮で出会ったある人は、最初VOAがアメリカの放送局だと聞いて“プロパガンダだろう”と思った。しかしVOAがアメリカについて“良いことも悪いことも”報道し、さらに自国(北朝鮮)についての情報も流しているのを聞いて、『これは本物だ』と気づいた。」
- 彼らは、VOAの報道内容を自分の目で確かめることができる情報として信頼するようになった。
- 北朝鮮の国営メディアでは知らされない事実(たとえば強制収容所の存在、国際社会の見方、外の世界の生活など)をVOAを通じて知った。
2. 中国の例:
- VOAは、1989年の天安門事件について、中国政府が報道規制を行っていた中、国外から中国語で情報を発信。
- 2020年の新型コロナウイルス(武漢での初期発生)についても、中国国内で隠蔽された情報をVOAが報道し、多くの中国人がそれを通じて知った。
- 中国ではインターネットも検閲されていますが、短波ラジオやVPNを使ってVOAを聞いたり読んだりする市民がいると報告されています。
3. イラン:
- 2009年の民主化運動(緑の革命):
- イランでは2009年の選挙後、政府に対する大規模な抗議運動が起きましたが、イランのメディアは政府寄りの報道を行い、抗議者たちに対して批判的でした。
- この時、VOAペルシャ語サービスが積極的に抗議運動や選挙不正に関する情報を報じ、イラン国内での抗議活動を世界に伝えました。
- イラン国内ではインターネットが遮断されていたため、ラジオや短波放送を通じてVOAの情報を得る人々が多く、VOAが重要な情報源となった。
- 反政府運動の支援:
- VOAは、イラン政府の言論統制に対抗するため、反政府活動家や市民の声を世界に伝える役割を果たしました。
- 特に、イランの人々が他国の民主主義の報道を理解する手助けとなり、VOAを通じて自国の現実を知ることができました。
4. ロシア:
- ウクライナ侵攻と報道の自由:
- ロシアでは、ウクライナ侵攻(2022年)を巡り、政府が公式メディアを使って戦争を美化し、ウクライナの現状を隠蔽していました。VOAは、ロシア国内の検閲を受けながらも、インターネットを通じて戦争の実態やロシア政府のプロパガンダを暴露する報道を行いました。
- 特に、ロシア政府が自国民に対して戦争の実態を隠しているため、VOAが報じる情報が貴重で、ロシア国内でもVPNを使ってVOAを視聴する人々が増えています。
- ロシア語放送の影響:
- VOAロシア語サービスは、ロシア国内でもアクセスできるように積極的にインターネット、ソーシャルメディアを通じて情報を発信しました。
- 例えば、クリミア半島併合やウクライナへの侵攻を巡る国際的な批判に関して、ロシア国内で報じられない事実をVOAが提供し、ロシア市民が自国の状況を理解する手助けとなった。
共通点:
- 言論の自由が制限されている国々(イランやロシアなど)では、政府のプロパガンダを覆すための重要な情報源としてVOAが機能しています。
- インターネット検閲やメディア統制が行われている中で、VOAの短波放送やインターネット配信が市民にとって貴重な情報源となり、政府が隠す事実を知るための手段となっています。
VOAは、こうした国々での政府による情報操作に対抗するため、自由で客観的な報道を通じて市民の知識を提供し続けています。
現状
2025年3月15日、トランプ大統領は大統領令により、米国国際メディア局(USAGM)への連邦資金提供を停止し、これにより「ボイス・オブ・アメリカ(VOA)」を含む関連メディアの運営が事実上停止しました。
この措置により、VOAの約1,300名の職員が停職となり、多くの放送が中断されました。
しかし、その後、連邦裁判所はこの閉鎖措置を一時的に差し止める命令を出し、VOAの運営再開が検討されています。
現在、VOAの活動は部分的に再開されているものの、完全な復旧には至っていません。 今後の法的手続きや政府の対応により、VOAの将来が決定される見込みです。
USA: RSF and VOA coalition secure first court victory against the Trump administration | RSF