結果を出す手技療法のパイオニア

生まれつきの股関節異常|坐骨神経痛・膝関節炎で足が伸びない中年女性 残った原因が足首にもありました

飛騨地方(高山市・飛騨市・下呂市・白川村)の患者さんです。50代女性です。

誰もが過去のケガや病気が加齢と共に再び症状として出てきます。

実際の治療の経過です。

標準治療なら、痛み止めやしびれ止めを飲んで、取り切れない慢性痛に苦しむ生活になるはずでした。

患者さんは、股関節の異常が有り、膝も痛くて神経痛も出て満身創痍でした。途中、ロキソニンテープのみ使用されましたが、お薬は一切服用されていません。

医療関連のお仕事で薬の現状をよく理解されているので、手技療法に期待され当院の施術で、2ヶ月を経て治る見通しが立ちました。

難しく手こずりましたが「木を見て森を見ず」の自戒を促す結果になり、患者さんに勉強させて頂きました。

また、見方の違う整形外科の専門医アドバイスが無ければ、これほどの効果を出せなかった症例です。

既往歴

生まれつきの両方の股関節に問題を抱えて、成人前に片側の大腿骨を骨折した既往があります。

股関節は、片側が臼蓋形成不全、もう片側は先天性股関節脱臼です。見た目の歩容は問題ありません。

どちらも股関節の異常です。骨盤側の臼か大腿骨の骨頭の異常の違いだけです。

世界標準メルクマニュアルの解説

来院のきっかけ

立ち仕事で、半年前から何か変だなと感じられていましたが、ある日、作業中に片膝の横側から後ろに激痛が出て来院されました。

坐骨神経痛

診ると坐骨神経痛を確認し、腰椎椎間板ヘルニアの徴候はありません。

当院の鍼灸は坐骨神経痛に抜群の効果があるので行いました。痛みは軽減しましたが、依然、夜間痛が強く寝られないと言われます。

膝関節炎

膝も若干の腫れもあります。水は溜まっていません。しっかり膝が伸びません。

伸びない根本原因は、生来の股関節異常や大腿骨折の不具合をかばうため膝を5度程曲げて生活してきたからです。

お皿も股関節異常をかばうために可動性が自然に減りカバーするようになります。

膝蓋骨、膝の皿の動きのテストをすると激痛が出ます。お皿の動きが健側に比べて半分以下です。

仙腸関節(骨盤)の動き

両方の股関節に異常が有ると、骨盤の関節を形成する仙腸関節(骨盤と仙骨)や腰仙関節(腰椎5番と仙骨)に動きの異常が出ます。

徒手検査の、Fadirf(ファダーフ)、Fabere(ファベレ)、Patrick(パトリック)の各テストを行いましたら、股関節に激痛が出て異常を確認しました。

股関節もしっかり曲がらなくて、知らず知らずに全身でかばっている状態です。

このように関連痛が下半身に出現することが多く見られます。

人体の関節も遊び(副運動)があり、工学の遊びと同じで機械の接合部には遊びがありますが、それを治さないと改善しません。

独自の矯正法マニュレーションを行い、股関節の引っかかりは解消されました。股関節も曲がるようになりました。

その日から夜は寝られるようになりましたが、相変わらず日中は痛みが続きます。

骨折後の筋肉の痩せに加圧リハビリ®

大昔、痛い方の膝の大腿骨を骨折していて足が細くなっているので、これが今回の本当の原因です。

加圧リハビリ®を行い丈夫にするようにします。

腸脛靱帯があきらかに痩せています。筋肉の萎縮です。膝の痛みも長年に渡りかばっていたと思われます。

大腿筋膜との間に滑走不全が起きていますが、軽く触るだけで痛みを訴えられるので鍼灸を使い改善させます。

腸脛靱帯

しびれが取れない

経過を見て、2回目の脊椎矯正を行います。

しびれが取れずに残ってるので、2回目の鍼灸を行い火鍼も併用しました。ぞれで、しびれは無くなり膝の痛みだけになりました。

あきらめず施術を継続

当初、膝の痛みは、棚障害か変形性関節炎の初期の段階かと判断していましたが、腸脛靱帯の動きの劣化でした。

治療直後は改善しますので、こまめな通院を患者さんにお願いします。

股関節の状態は治ることはありませんから、良い状態の維持を目指して、関節の引っかかりが出たら矯正となります。

3回目の矯正マニピュレーションを行いました。

足首と腰の関連

私の自己体験から腰を治すと足首に痛みが出たり、足首を治すと腰に痛みが出たり、足関節との関連があるのは理解していました。

痛みは、簡単に言うと脳から出た神経が手先や足先に流れていて(遠心性=下行性)、脳や背骨に異常があると肩、肘、膝、足首などに痛みが出るというのが通常の考えです。

ところが、反対に手先足先に問題があると、体幹側である腰や首や肩に痛みやしびれが出る(求心性=上行性)こともあります。

その理論や臨床結果を手外科の専門医に教えて頂いた事を思い出し、検査をしたらドンピシャで反応がありました。

そこへ施術を行ったら、翌日、膝の患部のむくみと痛みが軽減していたわけです。

これには私も患者さんもビックリでした。

確定ができたので足首周辺の施術を行うことにしました。距骨の動きではありません。

膝蓋骨、膝の皿を動かすと激痛が出ていましたが、その場で少し変化が出ました。

キネシオテープ

当院では加圧リハビリ®を行うようになり、キネシオテープは使わなくなりました。

しかし、患者さんは通常より筋肉の働きが弱い印象です。この場合、キネシオテープを貼り筋肉を賦活することにしました。

スポーツでは盛んに利用されるようになり、色々な大会で選手が貼っているのを見ることがあります。

これの欠点として、筋肉が賦活したら(動き出したら)中止することです!ずっと貼り続けると働き始めた筋肉をブロックします。

そんな運動選手が多くて残念です。

今回の患者さんも、貼る時間を指定して貼る事にしました。

そうすると三日後から筋肉の動きが大変良くなり、膝の曲げる時に痛みが少なくなりました。

4回目の矯正法マニピュレーションを行います。

膝の腫れに鍼灸

膝関節に水は溜まっていませんが腫れが引かないので、鍼灸療法を行います。腰からの関連、腸脛靱帯の緩和も狙います。

特殊な電流を流すので、その場で腫れが引きます。

4回目の矯正法マニピュレーションを行います。

加圧リハビリ®にようやく反応する

25回目の加圧リハビリ®で、ようやく反応が出ました。

これを加圧トレーニングでは「通った」と言いますが、その後、今までの痛みが劇的に変化して軽くなりました。

鍼灸を再び

5回目の鍼灸を行います。一層、痛みが軽減し、膝も伸びるようになりました。

多彩な技術で見える世界

これだけ多彩な施術技術を提供できるのは当院のみです。

  • 鍼灸で全体の強い痛みを取る
  • 加圧リハビリ®で骨折した足を丈夫にする
  • 矯正法マニピュレーションで骨格の動きを治す
  • 火鍼でしびれを取る
  • 足首への特殊施術
  • キネシオテープで狙った筋肉を賦活させる

ここまでやっても、依然膝周辺の痛みが有ります。

通常、整形外科なら痛み止めやしびれ止めを処方してもらい、そこそこ楽になればそんなもんでしょうと判断されると思います。

どうしても痛みが我慢できなければ手術ですね、という流れになるはずでした。

長年の臨床経験が実現する

今回、ようやく治る道筋が発見できたので、私自身、すごく嬉しかったです。施術回数は49回ほどです。

他の患者さんでも、難治性の神経痛が脊柱は当然ですが、手先足先の問題があるのを確認していますので、これで、ますます患者さんに寄与できるものと確信しています。

あきらめずに通ってくれた患者さんに感謝です。

これで患者さんも、順次、完全に治っていくと思います。

後日談

いったん治り卒業されましたが、再び軽い痛みが出てきました。

それには、腸脛靱帯と大腿筋のコンパートメントに鍼を刺し、筋間の滑走を改善したら治りました。専用の鍼が必要です。

この記事を書いた人

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村坂 克之

小又接骨院・鍼灸院の院長です。柔道整復師、鍼灸師の国家資格にて施術を行っています。屋号の小又(こまた)は、先祖の小谷屋亦治郎(亦=又)に由来します。親指シフトユーザー。
詳しくは院長略歴をご覧下さい。