遠方からの来院ありがとうございます。静岡県からお越し下さいました。
お車で7時間かけての来院です。休憩を挟みながらお一人で運転されて来られました。
新東名(E1A)→東海環状(C3)→東海北陸(E41)と高速道路移動です。大変便利な時代になりました。
東海北陸自動車道も飛騨清見ICまで4車線になったので助かります。
2日間の治療日程です。
来院までの状態
過去に整形外科を受診し、診察して痛み止めのお薬を貰い、リハビリに回されて、いつ治るか分からない対症療法に嫌気がさした体験をされているそうです。
整形外科の先生も一生懸命治療に当たられていますが、標準治療では診断からの治療が決まっていますので致し方ない面もあります。
そこで、しっかり根本からの治療を受けようと色々検索されて、ようやく当院を見つけられました。
母指CMP関節症、母指MP関節症です。5年前から発症し、半年前から一段と痛みが強くなってきました。
右>左で若干悪いです。
MP=中手指節間関節、親指はCM関節の隣の関節になります。
CM関節をかばうためにMP関節に負担がかかり炎症を起こします。
右第3指ブシャール結節症です。指の第2関節が腫れる原因不明の関節炎です。3ヶ月前からです。
誘因とされる腱鞘炎の徴候が、既に右第3指に見られます。
その原因は、手指の異常緊張の体質からです。
上腕骨外側上顆炎です。ブシャール結節症と同時期に発症し3ヶ月前からです。
上腕骨外側上顆炎は俗に言う、テニス肘です。肘の外側に炎症が起きます。ヤカンが持ちにくく瓶の蓋が開けにくくなります。
慢性腰痛症、頚椎症があります。これは20年以上前からです。
1ヶ月前から右小指に時々しびれが出ます。首は車でバックするときに後ろを向けなくて体ごと捻っているそうです。
腰は2度ぎっくり腰体験していて、痛いのは治らないと諦めています。
家族歴は、祖母が関節リウマチ(RA)で、叔母がシェーグレン症候群なので、膠原病の体質を引き継いでいるかもしれないと、先週血液検査を行いましたが正常でした。今後は定期に検査をするそうです。
シェーグレン症候群 (SS) – 06. 筋骨格疾患と結合組織疾患 – MSDマニュアル プロフェッショナル版
万が一発病しても、現在は良く効く疾患修飾性抗リウマチ薬(DMARD)=メトトレキサートなどが開発されましたので安心です。関節リウマチは早期発見が一番大切です。
色々な治療やトレーニングもされましたが、現在は何もされていません。
初検の状態
医療関係のお仕事もされたことがあるそうです。
満身創痍です。
母指CM関節症はグレード2相当です。代償性でMP関節が炎症を起こしています。このままだと、親指がZ型変形(スワンネック変形)を起こします。
前前腕筋や手指の異常緊張を認めます。
頚椎は胸椎1.2番に変位があり、これが小指のしびれを引き起こしています。肘部管症候群の徴候はありません。
首の動きも正常域の70%程度です。これでは日常生活にも支障を来します。
C1-C7棘上靱帯に明らかな異常緊張を認めます。
股関節の開排運動の引っかかりは、左>右で状態が悪いです。これでは腰が痛いはずです。
幸いなのは足がしっかりしていました。外反母趾もありません。
治療
母指CM関節症はもとより、全身状態を改善するように治療を行います。
母指CM関節症の治療内容
1回で最大限の治療効果を出すために、これだけの治療が必要になります。
- 母指CM関節自体の抗炎症
- 外側脊髄視床路への神経促通
- 関連する脊椎椎間関節や仙腸関節の副運動の可動性回復
- 新しく開発した腸腰筋治療
- 骨盤と肋骨の動的可動性の回復と立位体幹軸の修正
- 患部の悪玉活性酸素除去
- 患部の血流改善と上肢筋群の筋力向上
- 独自サポーターの巻き方の習得
- 自己チクチク法の習得
- 正しいストレッチの習得
使用する治療法
- 低周波通電/微弱電気通電
- チクチク療法(長田式無血刺絡療法)
- 解剖運動学矯正法
- 村坂腸腰筋療法(仮)
- パーマー式カイロプラクティック
- アクティベーター療法
- リアライン療法
- 高濃度人工水素水浴
- 加圧リハビリ(医療目的加圧トレーニング)
チクチク療法だけ痛みを伴います。
1日目
当院規定の母指CM関節症の治療を行います。頚椎症や腰椎症をも合わせて解消します。
股関節の開排運動の引っかかりは全て解消しました。多少右側に残っていますが翌日再検査し再度治療を行います。
当初、左の股関節の引っかかりが強かったのですが、これはフェイク現象で、治療を行うと右側が悪いと出ました。
表面上見た症状のみ治療しても、なぜそうなったのかを推理し見抜けないと、良い治療は成立しないのです。
この関連で、元々は右の母指CM関節の方が悪いです。
胸椎1.2番の変位を認めますので、後頭骨からの矯正を行います。
これは三体制理論から考えると、頚椎7番、胸椎1.2番は同属生があります。
ここまでこじれるのは、腰椎の状態も悪いので腰部の治療をしないと首の症状は改善しません。
矯正しても棘上靱帯の緊張は翌日でないと緩みません。
前前腕筋や手指の異常緊張を認めます。
患者さんは、特に手指に異常緊張を認めるタイプなので、しっかり自己リハビリを勉強していただきます。
この手指の異常緊張が、母指CM関節症、MP関節症、ブシャール結節症、上腕骨外側上顆炎を引き起こしているのです。
2日目
母指CM関節症の親指根元の出っ張り(亜脱臼状態)は、見ためでは無くなっています。
ブシャール結節症の痛みは消失しています。これは長田式無血刺絡療法=チクチク療法が必要になります。
上腕骨外側上顆炎の痛みは殆ど消失しています。
腰痛も気にならなくなっています。
股関節の開排運動の引っかかりは、フェイク現象が取れ右側にまだ引っかかりがありますので解消します。
治療後はキレイに回旋開排運動ができるようになりました。
1日目で取れきれなかった状態を改善します。
母指CM関節症の痛みは減少しましたが、MP関節が余計に痛いとの事です。
これはCM関節の関節面の修正が行われたので起こる現象です。よくあります。
首の動き
通常は1回の治療で頚椎の状態は改善しますがイマイチでした。
患者さんは首の動きがもう一つ改善したいと。
頚椎1番のリスティングを正確に取りますと動きは改善しました。
多裂筋の緊張を取らないと直ぐ戻っていますので、針治療を頚椎7番.胸椎1.2番へ行います。
解剖運動学矯正法を行い検査すると、見事に棘上靱帯の異常緊張はなくなりました。
首の可動性検査をすると肩甲挙筋が動いてません。この動きが出るように治療を行います。
肩甲挙筋が動かないと頚椎1.2.3.4番が動かないので首が回らないです。
そうしたら、今までになく後ろ側が見られるようになり、患者さん大喜びです。
自彊術にて自己整骨
このような関節の弱い人には筋肉トレーニングは不向きです。といってヨガも関節を緩くしてしまうのでお勧めはできません。
現在は、自彊術=じきょうじゅつをお勧めしています。
今後は自彊術(じきょうじゅつ)を行って頂き、自己整骨にて状態を改善します。だいたい3ヶ月から半年かかります。
このような長年にかけて悪化した脊柱の歪みには自彊術は抜群の効果を発揮します。
今後は
母指CM関節症は今後の自己リハビリで順次改善します。
それには前前腕筋の異常緊張、手指の異常緊張を取る村坂ストレッチ法が必須になります。
それほど、指の柔軟性が悪化するとここまで多彩な症状を引き起こす証左でもあります。
非公開の関節面を合わせる方法を合わせて学んで頂いたので、2日目はストレスを掛ける加圧リハビリでも痛みが驚くほど減少しています。
患者さんは、「この2日間でここまで良くなるとは感動しました! もっと近くあると良いんですが… 半年後くらいに再び段取りして来院したいです」と言われました。
しっかり自己リハビリを行って頂き、今後の症状改善が楽しみです。