45年の臨床実績 結果を出す手技治療

皮膚を刺激するだけで痛みが消える ― 世界最高峰の脳研究賞が証明した、ソマニクス®の科学的根拠 ―

臨床45年で、「なぜこれが効くのか」を問い続けてきました。

ソマニクスのマイクロコーン(微細突起)を皮膚に貼ると、患者さんの痛みが和らぐ。これは日々の施術で実感してきたことです。しかし「なぜ効くのか」を、患者さんにきちんと説明できているかというと、正直まだ言葉が足りないと感じていました。

2026年、その答えの一つが、世界最高峰の脳科学賞から届きました。

Brain Prizeとは何か

The Brain Prize(ブレインプライズ)は、デンマークのルンドベック財団が授与する脳科学分野の国際賞で、「脳研究のノーベル賞」とも呼ばれます。

The Brain Prize

2026年の受賞者は、ハーバード大学のDavid Ginty教授とカロリンスカ研究所のPatrik Ernfors教授のふたりです。

Touch and pain | The Brain Prize Winners 2026 

受賞テーマは「体性感覚の細胞建築学(cellular architecture of somatosensation)」。皮膚への刺激が、神経を通ってどのように処理されるのか、その全体像を細胞レベルで初めて解明した研究です。

概要

2026年のブレインプライズは、私たちが触覚や痛みをどのように感知し、脳で処理しているのかを解明し、神経科学の分野に画期的な進歩をもたらした2名の科学者に贈られました。

受賞者

  • デビッド・ギンティ(David Ginty)教授(ハーバード大学)
    • 研究内容: 軽微な接触(ライトタッチ)の知覚に関わる低閾値機械受容器などの生物学的メカニズムを研究。
    • 貢献: 触覚が単一の神経ではなく、複数の異なる感覚神経が協働して成り立っていることを明らかにしました。
    • David Ginty | The Brain Prize
  • パトリック・アーンフォース(Patrik Ernfors)教授(カロリンスカ研究所)
    • 研究内容: 痛み、特に慢性疼痛を引き起こす細胞や回路の研究。
    • 貢献: 単一細胞RNA技術などを用いて感覚神経を分類し、それぞれの遺伝子発現に基づいた機能予測や実験を可能にしました。
    • Patrik Ernfors | The Brain Prize

主な功績と意義

  • 教科書の書き換え: 従来の「皮膚のセンサーと脳の特定部位を単一のニューロンが繋いでいる」という単純なモデルを覆し、多様な感覚神経が非常に早い段階から複雑に相互作用していることを証明しました。
  • 分類の確立: かつては曖昧だった感覚神経の分類を分子生物学的な手法で整理し、現在では少なくとも20種類以上の脊髄感覚神経が体性感覚システムを構成していると考えられています。
  • 医学への応用への期待: * 難治性の慢性疼痛に対する新しい治療薬の開発。
    • 自閉症スペクトラム障害などで見られる、光や接触に対する感覚過敏を抑える治療法への応用。
    • 糖尿病や抗がん剤の副作用による末梢神経障害、あるいは精神疾患における感覚症状の理解と治療戦略の構築。

両氏が確立した詳細な「ロードマップ」や研究ツールは世界中の研究者に共有されており、人間の感覚を解明する次世代の研究へ大きなインスピレーションを与えています。

皮膚の感覚神経には「種類」がある ― LTMRサブタイプとは

長年の臨床で、同じ場所を刺激しても、刺激の「質」によって反応が違うと感じてきました。今回の研究は、その感覚が正しかったことを証明しています。

Ginty教授の研究によれば、皮膚には「低閾値機械受容器(LTMR:Low-Threshold Mechanoreceptor)」と呼ばれる触覚を感知する神経があり、これが大きく三つのサブタイプに分かれています。

Aβ線維(エー・ベータ線維)

太くて髄鞘(ミエリン鞘)に覆われた有髄神経で、伝導速度が最も速い種類です。
圧力や皮膚の変形をすばやく感知し、「今、何かに触れた」という情報を瞬時に脊髄へ送ります。マイスナー小体やメルケル盤、パチニ小体といった精巧な皮膚受容器と連動しており、指先で物の形や質感を識別するような、精細な触覚を担います。

Aδ線維(エー・デルタ線維)

細い有髄神経で、伝導速度はAβ線維より遅くなります。
鋭い痛みや温度変化の感知にも関わりますが、LTMRとしてのAδ線維は、毛包(もうほう:毛の根元)周辺に分布し、毛が動いたときの「なでられた感覚」などを伝えます。

C線維(シー線維)

最も細く、髄鞘を持たない無髄神経です。
伝導速度は遅いですが、持続的な接触や、ゆっくりとした皮膚の変形に反応します。「心地よい撫でる感覚」や、じんわりとした温もりの感知に深く関わっており、近年「社会的な触れ合い」に関わる神経としても注目されています。

この三つのサブタイプは、それぞれ異なる種類の毛包を「決まった組み合わせ」で支配しており、脊髄後角(せきずいこうかく)へは「サブタイプごとの列」をなして投射しています。つまり、「どの皮膚の、どんな質の刺激か」という情報が、脊髄に届く段階ですでに整理されているのです。

ソマニクスのマイクロコーンが皮膚に与える「持続的な弱い機械的刺激」は、とくにC線維のLTMRとAβ線維のLTMRを選択的に活性化していると考えられます。強く圧迫するのではなく、皮膚にそっと「存在し続ける」ような刺激の質が、これらの神経に対応しているのです。

「触れるだけで痛みが和らぐ」の細胞レベルの証明

「触覚刺激が痛みを抑える」という考え方は、1965年に提唱された「ゲートコントロール理論」として古くから知られています。しかし長年、それは仮説の域を出ませんでした。

Ginty教授の研究は、脊髄後角に存在する介在ニューロンが、触覚入力と侵害刺激入力の両方を受け取り、「刺激の強さや質」に応じてゲートの開閉を行っていることを、細胞レベルで初めて証明しました。

とくに重要なのは、Aβ・Aδ・C線維という三種類のLTMRが、同じ皮膚の一区画に対して「同時に」脊髄へ信号を送り込み、脊髄後角の回路がその「重なり」を統合することで、痛みの信号をブロックしているという点です。一種類だけの刺激ではなく、複数のサブタイプが同時に活性化されることで、より強い鎮痛効果が生まれる。これは、施術者として「なるほど」と膝を打つ知見でした。

ソマニクスのマイクロコーンが複数の微細突起を持ち、皮膚の広い範囲にわたって刺激を分散させる設計であることは、この「複数のLTMRサブタイプを同時に活性化する」という観点からも、理にかなっていると思います。

末梢への刺激が、脳と脊髄を変える

今回の研究でとくに注目したのが、自閉症モデルのマウスを用いた実験です。

脳にほとんど届かない薬剤を、末梢の感覚神経(皮膚近くの神経)に投与しただけで、触覚過敏が改善されたというのです。

これは、「皮膚への刺激」が脳や脊髄の過敏状態を変えることができる、ということを示しています。慢性痛の患者さんには「中枢感作」といって、脊髄や脳が過剰に痛みに反応する状態があります。

C線維のLTMRは、この中枢感作の形成にも関わっていることが知られており、逆にC線維を通じた「心地よい触覚刺激」が中枢感作を緩和する可能性が示唆されています。ソマニクスによる持続的な皮膚刺激が、慢性痛患者の「脊髄・脳レベルの過敏さ」をリセットする方向に働いているとすれば、施術後に「なんとなく全身が楽になった」とおっしゃる患者さんの言葉が、改めて腑に落ちます。

痛みを「内側から抑える」回路の解明

Ernfors教授の研究も重要です。

脳の延髄から脊髄後角へと投射する特定のニューロン群が、脊髄の抑制性介在ニューロンを活性化することで、痛みの信号が脳へ上がるのを抑える「内因性鎮痛回路(下行性抑制系)」の実態が、細胞レベルで初めて明らかになりました。

また、Ernfors教授は無髄のC線維に付随する「終末シュワン細胞」という特殊なグリア細胞が、機械的な痛みの感知に必要不可欠であることも発見しています。痛みの感知は「神経だけ」の仕事ではなく、神経とグリア細胞の共同作業であるという、これまでの常識を覆す発見です。C線維を介したソマニクスの刺激が、この終末シュワン細胞にどのように作用するか、今後の研究が楽しみです。

鍼灸の鎮痛効果はエンドルフィン系・この下行性抑制回路と深く関わることが従来から示されていましたが、「どの細胞が鍵になっているか」がこれほど明確に特定されたのは初めてです。ソマニクスの皮膚刺激が、Aβ・Aδ・C線維という三種類のLTMRを通じてこの内因性鎮痛回路にどのように働きかけているか、今後の大きな研究テーマになると思います。

ソマニクスという選択肢の意味

ソマニクスは、プラスチック製のマイクロコーンを皮膚に貼付することで、持続的な皮膚刺激を与える医療機器です。刺さず、薬を使わず、それでいて痛みを緩和する。

SOMANIKS | 皮膚刺激で痛みを緩和するメディカルパッチ SOMANIKS

貼り方

ソマセプトミオ → 主に Aβ線維・Aδ線維

プラスチック製マイクロコーン(高さ100μm)が集合体として面を形成し、筋膜性疼痛症候群(MPS)に対して効果を発揮すべく開発された製品です。

硬い素材(プラスチック)による比較的しっかりした圧迫刺激のため、圧力・変形をすばやく感知するAβ線維(メルケル盤・マイスナー小体)が主に反応します。また筋膜・筋肉の深部への刺激という性質から、鋭い感覚を伝えるAδ線維も関与していると考えられます。

ソマレゾンヘム → 主に C線維・Aβ線維

ゴム製の柔らかいマイクロコーン177本(高さ0.2mm)による継続的なやさしい皮膚刺激で、筋の支帯を弛緩させ関節の可動域を改善します。

ゴムという柔らかい素材による持続的・緩やかな刺激は、まさにC線維(持続接触・温もりを感知)が最も得意とする刺激の質に対応します。さらにわずかな振動や圧迫がマイクロコーンを振動させ、皮膚へ刺激を送り続ける持続性も、C線維の特性と一致します。

まとめ

今回のBrain Prize受賞研究は、そのような「皮膚への弱い機械的刺激」が持つ可能性を、世界最高峰の科学が正面から認めたものだと受け止めています。

Aβ・Aδ・C線維それぞれのLTMRが担う役割、脊髄後角での統合、内因性鎮痛回路の活性化。これらの仕組みが細胞レベルで明らかになったことで、ソマニクスを使った皮膚刺激療法の「なぜ効くのか」が、これまでよりずっと明確な言葉で語れるようになりました。

臨床45年で積み上げてきた「感覚」と、世界最高峰の脳科学が、同じ方向を指している。そのことが、今回の受賞報告を読んで一番うれしかったことでした。

痛みでお悩みの方は、ぜひ一度ご相談ください。

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この記事を書いた人

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村坂 克之

小又接骨院・鍼灸院の院長です。鍼師、灸師、柔道整復師の国家資格にて治療を行っています。屋号の小又(こまた)は、先祖の小谷屋亦治郎(亦=又)に由来します。PC文字入力は親指シフト(orz配列)ユーザー。
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