膝の痛みで整形外科を受診すると、一般的な標準治療は薬物療法です。具体的には、消炎鎮痛剤やヒアルロン酸注射などがよく行われています。
しかし、患者さんがよく誤解しているのは「ヒアルロン酸注射をすれば軟骨が再生する」という考えです。残念ながら、注射で軟骨が再生することはありません。
やっかいなのは、消炎鎮痛剤(ロキソニン、セレコックスなど)は痛み止めの他に疲れを感じにくくする作用があるので、飲んで調子に乗って動くと、後に余計に膝の関節を壊し後悔します。
ヒアルロン酸注射の現実
最初の数回(4〜5回)までは驚くほど楽になります。そのため「このまま続ければずっと効果があるのでは」と期待してしまいますが、そう簡単にはいきません。
その後は効果が弱まり、2週間に1回、あるいは1〜2ヵ月に1回の注射という形になります。
日本では頻繁に行われている治療ですが、米国やヨーロッパの整形外科学会では推奨されていません。理由は明確で、効果が十分に証明されていないからです。
AAOS(米国整形外科学会)は、最新ガイドライン(2021–2022 OAK3ガイドライン)において、膝の変形性関節症に対するヒアルロン酸(ヒアルロン酸製剤)注射を「日常的には推奨しない」という立場を引き続き維持しています。
2025年時点でも、AAOSは膝関節症へのヒアルロン酸注射について「日常的使用は推奨しない」と明確にしています。 ただし、他の治療が効果不良だった場合の二次的選択肢として限定的に検討する余地はありますが、エビデンスの強さ・有効性から一般使用は見送られています。
日本では国民皆保険なので、効果が低くても頻繁に実施されているようです。
自宅でできる治療 ― お灸
では、どうすればいいのでしょうか。私がおすすめするのは、自宅でのお灸です。
特に入浴後は血流が良くなっているため、膝の関節にしっかりと熱を入れることが大切です。膝のツボに、隔日くらいの頻度でお灸をすると良いでしょう。
実際に行った方からは、「ヒアルロン酸注射より効果がある」という声も多く聞かれます。
お灸の注意点
唯一の欠点は、取り外すタイミングを誤ると火傷してしまうことです。ただ、これは経験を積むうちに上手になりますので心配はいりません。
当院の治療
鍼
当院の鍼治療は、全身へ刺し自然治癒力を最大限にするので費用もかかりますが、驚く程効果が出ます。
整形外科のヒアルロン酸注射が効かなかったり、手術を勧められて不安になり来院されますが、皆さん痛みや腫れが減少し喜ばれています。
高周波
お灸以外で関節の中まで熱を入れることができる唯一の装置です。当院では、効果のある特定の周波数を使っています。
私自身の体験
私もこれまでに、大腿膝蓋関節の軟骨欠損や半月板損傷を経験しました。
ヒアルロン酸注射はその場限りを実感しました。初回の効果には驚きました。その後はそんなに効きませんでした。
軟骨欠損にPRP再生医療も受けましたが、2.3年有効でしたが、年齢には勝てませんでした。
そこで自分で治療を行い、お灸を取り入れることで、今では日常生活に支障なく過ごせるようになっています。
ゼラチン健康法も有効です。
痛みとの付き合い方
「痛みを完全にゼロにしたい」という希望を持つ方は多いですが、加齢による変化もあるため、現実的には“痛みとどう折り合いをつけるか”が重要になります。
その見極めを私は行いますが、治療費用との兼ね合いもありますから、患者さんご自身の気持ち次第です。
図解(膝のお灸ポイント)左膝

お皿以外はカメの甲羅をイメージしてすえてください。
まとめ
- ヒアルロン酸注射は軟骨を再生しない
- 欧米では効果が乏しいとされ推奨されていない
- 自宅でのお灸は効果を実感する人が多い
- 痛みをゼロにするより、折り合いをつけて生活の質を保つことが大切
膝関節炎でお悩みの方は、ぜひご自宅でのお灸を取り入れてみてください。
