他の病状で通院中の患者さんです。
血相を変えて来院されました。「先生、顔面神経麻痺になったんです、助けてください!耳鳴りもひどいんです!」と。
2日前に発症し、ネットで検索して直ぐ診察を受けた方が良いとの事で、脳神経外科を受診してお薬を処方して頂きました。
それが幸いでした。発症後48時間(2日)以内が理想で、遅くても1週間以内が勝負です。
メルクマニュアルの解説
世界標準のメルクマニュアルの解説です。日本ではMSDマニュアルとなっています。
ベル麻痺 – 09. 脳、脊髄、末梢神経の病気 – MSDマニュアル家庭版
私の学生の頃(45年前)は、抗ウイルス薬も有効と習いましたが、現在はステロイドのみ有効となっています。
症状
顔面の片側が、目が閉じられない、口か下がる、水を含むと口からこぼれる。
医師の診療
女性なので、顔の症状は気になり夜も寝られません。今後が不安になり、医者のハシゴをされました。
- 脳神経外科、普通は1.2ヵ月で治るけど、人それぞれ。神様に祈りなさい。
- 眼科、目が閉じられないので目が乾くので目薬処方。
- 耳鼻科①、治るのには1年以上かかるのを覚悟するように。治らない人もいる。
- 耳鼻科②、ステロイドパルス療法をやれば1ヶ月で必ず治る!発症して直ぐ来なかったからもう遅い。
と、先生により判断がまちまちでした。
耳鳴りに関しては、全ての先生が改善するかは分からないとの判断でした。
治療
顔面神経麻痺の鍼灸治療を行います。
刺絡療法(井穴刺絡・頭部刺絡・細絡刺絡) – 小又接骨院・鍼灸院
経過
初回、鍼灸を施すと、目が閉じるようになり、くちびるも動きます!
患者さんは大変喜ばれました。
しかし1.2日で戻ります。それの繰り返し治療です。週1回行います。
2週間経過したらくちびるがしっかり動くようになり、目も閉じられるようになってきました。
2ヶ月(8週間)後には、他人からは分からない程度に回復しましたが、本人としては口角やまぶたの動きが完全じゃ無いと言われます。
耳鳴りは遅れて改善します。20回以上必要です。現在、25回治療して、ようやく耳鳴りの音も小さくなり落ち着いてきました。
耳鳴りの治療は得意ですが、患者さんのあきらめない気持ちが大切です。
70-80%くらい改善しないと耳の自覚症状が改善しません。
結果
4ヵ月後、99%治りました。旧知の友人からも全く分からないと言われています。
ステロイドの治療は当然必要です。鍼灸が効果的だったのは間違いありません。
後遺症が出なかったのは、鍼灸がリハビリ的に働いたと考えます。回復期と生活期に多大な効果を出すと思います。
耳の神経支配は、「聴神経、三叉神経、舌咽神経、顔面神経」とありますので、顔面神経の賦活をすることが、耳の状態の改善に役立つことが再認識できました。
陳旧性、ステロイドの治療で効果が出なく、数ヶ月後や数年後の来院の場合は、