45年の臨床経験|観察から原因を見極め結果に導く

その「資格」、国家資格ですか?―施術所の広告と景品表示法

先日相談がありました。

「整体院で扁平足と言われて凄く気になり、ネットで調べて色々体操をやってますが、意味があるのでしょうか?」

私の返事は、

「そんなことはやらなくて良いです。

症状と直接関係のない身体的特徴まで『原因』と結びつけ、不安をあおって継続的な施術を勧めるような説明には注意が必要です。

扁平足だからといって、それだけで直ちに問題があるとは限りません。症状がなければ、必要以上に心配する必要はありません。」

と、答えました。

当院独自の「足指ゴムバンド体操」をすれば足底アーチは改善します。お体を拝見していませんから、どこまで改善するかは分からないので一般論までになりました。

下記の資料販売に「村坂足指ゴムバンド体操」があります。

資料販売 – 小又接骨院・鍼灸院|岐阜県飛騨市古川町

施術の宣伝

整体院、接骨院、鍼灸院、カイロプラクティック、○○療法――。

身体の痛みや不調があるとき、インターネットで検索すると、さまざまな施術所が表示されます。

そのホームページには、

  • 国家資格者が施術
  • 専門家による施術
  • 根本改善
  • 原因を特定
  • 医師も推薦


など、利用者に安心感を与えるさまざまな言葉が並んでいます。

しかし、ここで一度考えていただきたいことがあります。

その「資格」は何の資格なのでしょうか。

そして、その表示から受ける印象と、実際に提供されているサービスは一致しているでしょうか。

国家資格と民間資格は違います

日本には、身体に対する施術に関係するさまざまな国家資格があります。

  • 医師・歯科医師
    • 医師
    • 歯科医師
  • コメディカル:医療専門職(医師の指示の下で医療業務を行う人)
    • 看護師
    • 理学療法士
    • 作業療法士
    • 言語聴覚士
    • 臨床工学技士
    • 歯科衛生士
  • 医療類似行為を行う国家資格
    • あん摩マッサージ指圧師
    • はり師
    • きゅう師
    • 柔道整復師

です。

これらはいずれも法律に基づく国家資格です。

一方、「整体師」「カイロプラクター」「○○療法士」などには、名称によっては民間団体やスクールが認定する資格はあっても、それ自体が国の定める国家資格ではありません。

もちろん、民間資格だから技術がない、国家資格だから必ず技術が高い、という話ではありません。

私が問題だと考えているのは、一般の方から見て、その違いが非常に分かりにくいことです。

国家資格を持っていることと、その資格で何ができるかは別問題です

さらに分かりにくいのが、

「国家資格を持っている」ことと、「その国家資格に基づいてどのような業務を行えるか」は同じではない、という点です。

国家資格には、それぞれ法律によって業務内容や位置づけが定められています。

例えば「理学療法士が整体院を開業すること」そのものが直ちに問題なのではありません。

問題は、整体院では医療としての理学療法を行うことはできないのに、「理学療法士の整体院」と掲げた場合、そこで実際に何を提供しているのか、利用者には分かりにくいことです。

したがって、「国家資格者」という言葉だけを見て判断するのではなく、

  • 何という国家資格なのか
  • その資格は、そこで提供されている施術とどのような関係があるのか

を見る必要があります。

広告は「書いてあること」だけでなく「どう受け取られるか」も重要です

ここで関係してくる法律の一つが景品表示法です。

景品表示法では、商品やサービスの内容について、実際のものより著しく優良であると一般消費者に示す「優良誤認表示」を禁止しています。

重要なのは、単に一つ一つの言葉だけを見るのではなく、広告全体から一般の消費者がどのような印象を受けるかという点です。

たとえば、実際に国家資格を持っている人が、「私は○○という国家資格を持っています」と事実を表示すること自体に問題があるわけではありません。

しかし、国家資格を大きく強調することによって、「この整体院では、その国家資格に基づいた医療や施術を受けられる」と一般の方が受け取るような表示になっているのであれば、その表示と実際のサービスとの関係を慎重に考える必要があります。

自治体の行政サービスでも同様です。「骨盤○○」などと表示されていても、実際に提供されるものが体操なのか、ストレッチなのか、あるいは別のサービスなのかが分からなければ、利用者に誤解を与える可能性があります。なぜ「骨盤」の文字を使う必要があるのでしょうか?

「効果」をうたう広告にも根拠が必要です

資格だけではありません。

施術の効果について、

  • 根本から改善
  • 原因を特定
  • ○%が改善
  • 一回で変化
  • 再発しない

などと表示する場合も注意が必要です。

このような表示を見た場合には、その効果を裏付ける客観的・合理的な根拠が示されているかを確認することをお勧めします。

私なら上記の表示がある時点で、その施設を選択しないでしょう。

景品表示法には、いわゆる不実証広告規制があります。

サービスの効果や性能について優良誤認の疑いがある場合、消費者庁は事業者に対して、その表示を裏付ける合理的な根拠を示す資料の提出を求めることができます。

つまり、

  • 自分の経験では効果がある
  • 患者さんから喜ばれている

というだけで、どのような効果でも自由に広告できるわけではありません。

これは整体院だけの問題ではありません。

接骨院でも鍼灸院でも、国家資格者が運営する施術所でも同じです。

国家資格者である私たちにも同じことが求められます

ここは非常に大切なところです。

私は、「国家資格者だから広告は正しい」「無資格者だから広告は間違っている」と言いたいのではありません。

私たち国家資格者も、自院のホームページや広告について、同じように表示の根拠を問われます。

施術の効果を実際以上に大きく見せたり、患者さんが誤解するような表現を使ったりしてよいわけではありません。

資格の有無にかかわらず、消費者が正しく判断できる情報を提供することが必要です。

過去には整体院の「表示」をめぐる訴訟も

整体院の表示をめぐっては、過去に国家資格者側から整体院に対して、不正競争防止法に基づく損害賠償請求訴訟が提起されたと公表された事例もあります。

ここで注意していただきたいのは、「整体院だから問題なのではない」ということです。

また、この訴訟と景品表示法は別の法律の問題です。

ただ、このような事例からも、施術所がどのような名称や資格、専門性を表示するのかは、単なる宣伝方法だけの問題ではないことが分かります。

私が問題にしたいのは「消費者に正しく伝わっているか」です

私は整体や民間療法そのものを否定しているわけではありません。

また、国家資格を持っているというだけで、その施術者の技術が優れていると主張するつもりもありません。

問題にしたいのは、

一般の方が広告を見たときに、その施術者がどのような資格を持ち、どのような立場で施術を行っているのかを正しく理解できるか

ということです。

  • 国家資格なのか、民間資格なのか。
  • 国家資格なら、何という資格なのか。

その資格と、そこで行われている施術にはどのような関係があるのか。

そして、広告されている効果には、どのような根拠があるのか。

身体に直接施術を受ける以上、これらは利用者にとって重要な情報です。

施術所を選ぶときに確認してほしいこと


「その資格は国家資格ですか?」
「その資格と、ここで受ける施術はどのような関係がありますか?」

ホームページに「国家資格」「専門家」「認定資格」などと書かれていたら、ぜひもう一歩踏み込んで確認してみてください。

「何という資格ですか?」

これだけでも、多くのことが分かります。

さらに、


と確認してもよいでしょう。

広告は施術所を選ぶための大切な情報です。

だからこそ、国家資格者であっても、民間資格者であっても、資格や施術内容、効果について、一般の方に誤解を与えない表示をする責任があると私は考えています。

「治ります」と安易に言い切って患者さんを信じ込ませたり、不安をあおって必要以上に通院を続けさせたりする。

さらに、資格や施術の効果について、事実以上に良く見せるような広告や説明も見受けられます。

こうした問題に警鐘を鳴らすため、この記事を書きました。

自分の身を守るためには、施術を受ける側も、資格や施術内容、説明をよく確認することが大切です。

つらい症状があれば「何とか治したい」と思うのは当然です。しかし、そこでジョーカーを引いてはいけません。

実際には、不利益を受けて初めて「おかしかった」と気づく方も少なくありません。だからといって、患者さんの自己責任だけで済ませてよい問題ではないと思います。

人の「治りたい」という気持ちや不安につけ込み、事実と異なる説明や誇大な表現で通院を促すのであれば、施術を提供する側の責任は重いと私は考えます。

  • -
    コピー

この記事を書いた人

アバター画像

村坂 克之

小又接骨院・鍼灸院の院長です。鍼師、灸師、柔道整復師の国家資格にて治療を行っています。屋号の小又(こまた)は、先祖の小谷屋亦治郎(亦=又)に由来します。PC文字入力は親指シフト(orz配列)ユーザー。
詳しくは院長略歴をご覧下さい。