変形性手関節症 Hand osteoarthritis (HOA) の罹患率の調査結果です。
変形性母指CM関節症は,中年以降の女性に多く,遠位指節間(distal interphalangeal:DIP)関節症(ヘバーデン結節)についで多い手指の変形性関節症と言われます。わが国の1535人のコホート研究で,平均年齢63歳の群の50%にX線上,変性がみられました。年齢とともに割合が増えると言われ,超高齢社会のわが国では,もはや日常的に接する疾患になっていると考えます。
引用:医事新報社記事より
PubMed 記事
Modern Rheumatology(Journal)
Volume 26, 2016 – Issue 5
Prevalence of hand osteoarthritis and its relationship to hand pain and grip strength in Japan: The third survey of the ROAD study: Modern Rheumatology: Vol 26, No 5
要旨翻訳
目的:
手の変形性関節症(HOA)の有病率とパターンを調べ、握力と手の痛みとの関係を決定する。
方法:
変形性関節症/骨粗しょう症(ROAD)研究の第3回調査の参加者の中で、日本人男性は507人、日本人女性は1028人であった。
変形したKellgren-Lawrence(KL)スケールを用いて、両手のX線写真を変形性関節症(OA)について等級分けした。
HOAは少なくとも1つの罹患した関節の存在として定義された。軟骨下びらんの有無もスコア化した。
結果:
HOA(KLグレード≧2)の有病率は、男性で89.9%、女性で92.3%(p = 0.11)であり、年齢と有意に関連していた。
遠位指節間(DIP)関節におけるOAは全体として一番であった。
年齢、性別、体格指数、および住居地域を調整した後、重度(KLグレード≧3)およびびらんは、低い握力および手の痛みと有意に関連した。
合併群に関しては、DIPおよび第1手根中手関節(母指CM関節)における重度のOAは手の痛みに関係していた。
結論:
この研究は、X線撮影のHOAの高い有病率と、びらんに加えて手の痛みとHOAの重症度との間の有意な関係を示した。
KL(Kellgren‒Lawrence)の分類
グレード0:正常
グレードⅠ:疑わしいわずかな骨棘
グレードⅡ:明確な骨棘、関節列隙の狭小化(25%以下)の可能性
グレードⅢ:中程度の骨棘、関節列隙の狭小化(50~75%以下)が明確、硬化像中程度、
グレードⅣ:著明な骨棘、関節列隙の狭小化(75%以上)が中程度、硬化像著明、関節輪郭の変形明確
ROAD研究
ROAD(Research on Osteoarthritis Against Disability)プロジェクト
世界初 変形性関節症の大規模臨床研究プロジェクトROADの開始 ~ROAD(Research on Osteoarthritis Against Disability)~ | 東京大学
生涯歩き続けられる社会を目指して | UTokyo Research
私の考え
ヘバーデン結節になるのは、加齢と共に避けられないようです。
加齢につれて手の変形はほぼ全員に診られるので、症状を早期から治療してコントロールする必要があると感じます。
長田式無血刺絡療法を基本として当院の治療では、母指CM関節症、ヘバーデン結節、ブシャール結節など、手指の変形が進行するのを抑えられる可能性が高まると考えています。
指のストレッチの重要性を再認識しました。