70代の女性です。腰椎すべり症で数年前に固定術を受けられました。しかし手術後も症状は改善しませんでした。
その後、自費で高額なセネゲル法を受けられました。椎間板には画像上の変化が生じたものの、体感としての症状変化はなかったそうです。
名古屋在住のお子さんが飛騨地方の実家へ帰省の際に、連れて当院へ来られました。「少しでも良くなる可能性があれば」という、ご家族の切実な思いからです。
既往歴
既往が多い方です。
パーキンソン病を発症されていますが、歩行は可能で震えもまだ出ていません。
他の病気の手術歴もあります。他に高血圧、2型糖尿病、高脂血症、便秘、逆流性食道炎があります。
逆流性食道炎は便秘を改善すると解消します。特定の漢方薬が効果的です。ご相談下さい。
初検時の漢方所見
舌は陰虚の所見で、舌苔も少なく胃気の脈が弱い。脈は高血圧ですから洪大です。
証は肝腎陰虚です。加齢などの要因により、体内の潤いである肝腎の陰液が不足することがベースにあります。
陽亢です。 陰が陽を抑えきれなくなるため、相対的に陽気が高ぶる陽亢の状態となり、これが「内風(ないふう)」を引き起こして震え(振戦)や筋強剛を生じさせていると考えます。
治療と経過
鍼治療を行いました。
治療前はヨチヨチ歩きだったのですが、終了後に待合室へスタスタと歩かれて、私もご家族もビックリしました。
1番驚いたのは目力が弱かったのが、目に生きる気力がみなぎってきたことです。
2回目の来院時、「数日間は腰痛が楽になったけれど、また元に戻った」とおっしゃいました。初回からこれだけの反応が出るのは良い兆候です。治療への反応性が確認できました。
2回目の舌診は陰虚が改善しています。胃の気も良くなっています。治療終了後、土色の顔色が赤味が差しました。
今後は月に2回のペースで継続していきます。ご息女が帰省の都度、連れて来られる予定です。
10回以降から確実な変化が出ると思います。良い方向へ向かうことを願っています。
複合した既往を持つ患者さんへ
手術を受けても、最新の自費治療を試みても、改善しないケースがあります。
既往が複数あり、体の状態が複雑であるほど、東洋医学的な診断と鍼治療が力を発揮することがあります。証を読み、その方の体全体に働きかけるのが鍼灸の本質です。
遠くからご家族が連れて来られる。その思いに、できる限りお応えしたいと思います。
あきらめる前に、一度ご相談ください。

