44年の臨床実績 結果を出す手技治療

「奇跡は、まだ人が知らない自然の法則である」― 聖アウグスティヌスの言葉から考える、からだの中の小さな奇跡 ―

英語で解説された鍼灸の本の見返しの部分に書かれていた言葉です。

There are no miracles, only unknown laws. Saint Augustine

「奇跡は自然に反するものではなく、私たちが知らない自然に反するものである。」

これは、4世紀の哲学者であり神学者の聖アウグスティヌスの言葉です。

多くの人は「奇跡」と聞くと、神秘的な力や特別な出来事を思い浮かべます。

しかしアウグスティヌスは、そうではなく、「奇跡とは、まだ人間が理解していない自然の中にある出来事」だと説きました。

からだの中の小さな奇跡

私たちの体にも、たくさんの「小さな奇跡」があります。

たとえば、ケガをしても自然に傷がふさがる。風邪をひいても数日で治る。

食べたものがエネルギーに変わり、心臓が休まず動き続ける。

これらはすべて、私たちの体の中に備わった自然の力=自然治癒力の働きです。

現代医学が発達しても、この治癒の仕組みのすべてを説明できるわけではありません。

そこには、まだ解明されていない「未知の法則」があります。

アウグスティヌスの言葉を借りれば、まさに「奇跡とは、まだ人が知らない自然の法則」なのです。

体に眠る治る力

近年の漢方薬の広がりを見ると、西洋医学では十分に改善しにくい症状が多いことがうかがえます。 現代医療の手詰まり感は否めません。

そのような背景から、漢方薬が処方される機会が増えているようです。

東洋医学では、古くから「人は自然の一部」と考えられてきました。

体の中を流れる「気(エネルギー)」が滞ると不調が起こり、気が通れば、体は自然に回復します。

これは単なる迷信ではなく、自然の調和を整える知恵なのです。

鍼灸や手技療法は、外から治すのではなく、体の内に眠る「治る力」を呼び覚ますための方法です。

つまり、体に備わった“奇跡の法則=自然治癒力”に働きかける行為です。

奇跡は自然の中にある ― 生かされているということ ―

アウグスティヌスが語った「奇跡」は、神が自然の中に隠した法則を、私たちがふと目にするときの“驚き”のことです。

それは、自然と体が本来持つ知恵への「気づき」なのでしょうか。

そして、病や不調を通して、人間が“生かされている”という深い感謝の実感でもあります。

私たちのからだの中には、毎日小さな奇跡が起こっています。

治ろうとする力、立ち直る力、命をつなぐ力。

それを信じて引き出すこと―― それこそが、治療の本当の目的なのです。

引用

聖アウグスティヌス『神の国(De Civitate Dei)』第21巻第8章
「奇跡は自然に反するものではなく、私たちが知る自然に反するものである。」
Portentum ergo fit non contra naturam, sed contra quam est nota natura.”(ラテン語)

Augustine: De Civitate Dei Liber XXI 「Caput VIII」(第8章)の部分

表紙絵の解説

この絵は、聖アウグスティヌス(Saint Augustine)を描いた有名な作品で、17世紀フランスの画家 フィリップ・ド・シャンパーニュ(Philippe de Champaigne) による「聖アウグスティヌス(Saint Augustin)」です。

Philippe de Champaigne – Wikipedia

絵が語っていること

この絵は、アウグスティヌスの「信仰と理性の融合」を象徴的に表しています。
彼は「理性によって神を理解しようとする知識人」でありながら、「心で神を愛する聖人」でもありました。
画家はその両面を一枚にまとめています。

主なシンボルの意味

燃える心(右手のハート)

アウグスティヌスが右手に持っている燃える心は、「神への燃える愛」「真理への情熱」を表します。
彼は『告白』の中で

「あなたを愛することに遅れました。ああ、美しく、古く、そして新しい方よ」と書いており、神への強い愛が彼の信仰の中心にありました。

羽ペンと書物

左手の羽ペンは、彼が多くの神学書を書いた「知の人」であることを示します。
机の上の書物は、聖書や彼自身の著作『神の国』『告白』などを象徴しています。
知識(理性)による探求を表す要素です。

光と「VERITAS(真理)」

左上に描かれた光と「VERITAS(ラテン語で“真理”)」という文字は、神の光=真理の啓示を意味します。
アウグスティヌスは「真理はあなたの内にある(Veritas intus est)」と述べ、人間の心の中に神の光が宿ると考えました。
その光を見上げる彼の視線は、神への憧れと理解への祈りを表しています。

足元の書物と巻物

彼の足元には開かれた本や倒れた巻物があります。
それは「世俗の学問」「人間の理性だけの知識」を象徴し、彼がそれらを超えて「神の真理」へと到達したことを示しています。

絵の全体的なメッセージ

この作品が伝えるのは、

「真理は外にあるのではなく、神の光として心の中に宿る」というアウグスティヌスの思想です。

彼の姿勢

――燃える心を抱き、光を見上げ、筆を持って思索する――

それは、理性と信仰、知と愛の融合を象徴しています。

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この記事を書いた人

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村坂 克之

小又接骨院・鍼灸院の院長です。鍼師、灸師、柔道整復師の国家資格にて治療を行っています。屋号の小又(こまた)は、先祖の小谷屋亦治郎(亦=又)に由来します。親指シフトユーザー。
詳しくは院長略歴をご覧下さい。