首のヘルニアに悩まされている人は一人ではありません。この患者さんの症例があなたに希望を与えてくれるかもしれません。
来院
飛騨地方の50代男性です。
木を割る作業を連続に行っていて、テニス肘(肘関節の外側の痛み)で来院されました。
右肘が痛く、右手がしびれて夜も寝られません。
テニス肘とそれの放散痛と判断し、なんかおかしいなと思いつつ施術していていましたが、よくよく診ると重い頚腕症候群(首から手への神経痛)です。
伺いましたら、実は10年前の首の椎間板ヘルニアに罹っていたと言われます。
頸椎椎間板ヘルニアの再発です。こりゃやっかいで時間がかかりますよと説明しました。
お薬は?
さすがに痛み止めとの併用を提案しましたが、患者さんが事情を説明してくれました。
10年前の椎間板ヘルニアの時に、しびれ止めのリリカが全く効かず信じられないと、痛み止めのロキソニンは、先日飲んでみたら頭痛が酷くて飲めないと言われます。
10年前の症状は、時間経過でそれなりに安定してきたそうです。その後は、右の背中の違和感程度になっていたそうです。
それ以前に、腰の椎間板ヘルニアにも罹っています。
あるあるですが、頸椎椎間板ヘルニアになる人は腰椎にも問題があります。その反対は少ないです。
症状
首の痛みよりも、肩甲骨や二の腕に痛みと痺れを強く言われます。肘の痛みも言われます。
夜も痛みで、寝返りで直ぐ目が覚めてしまいます。ヘルニアがある方を下にして寝られません。
横突棘筋
1番深い場所にある背骨の筋肉です。徒手では届かないので鍼一択の施術になります。
横突棘筋(おうとつきょくきん)は、長背筋のうち、脊柱の最深層に位置する筋肉である。
いわゆるインナーマッスルの1つ。横突棘筋のうち、上側の筋群を半棘筋、中間の筋群を多裂筋、下側の筋群を回旋筋とよぶ。
名前の通り、腰椎横突起から頚椎棘突起までをつないでいる。
脊椎矯正ができない
矯正を行おうと矯正用ベッドになんとか仰向けになってもらいましたが、首を触っただけでも痛みが出ます。
得意の脊椎矯正は無理です。独自の鍼灸療法を主体として施術を行います。
ここまで重症だと、独自の鍼灸療法が1番早く改善します。
独自の鍼灸療法
テニス肘は施術に反応し少し改善しましたが、ヘルニアは全く反応しません、
2回目、3回目の施術時に治療の時に、歪んでいる胸椎の横突棘筋に当たる深いポイントを施術したら、ようやく夜も寝られるようになりました。
このポイントは解剖学をしっかり理解し、触診が長けていないと刺せません。
古傷の腰椎椎間板ヘルニアのポイントも合わせて施術を行います。
実は、脊柱起立筋である横突棘筋をはじめ、連なる多裂筋のバランスを取らないと、頸椎椎間板ヘルニアは改善しません。
ここが頸椎症を改善させる難しい点です。
頸椎椎間板ヘルニアの好発部位は、頸椎の4番5番6番の間ですが、症状の引き金が胸椎にあるのはよく診る現象です。
多分10回以上はかかりますが、この治療法で治す事が自然で1番効果があると思います。
お薬は
痛み止めやしびれ止めのお薬で症状を抑えられる人は、経過を見ながらでそれで良いと思います。
今回の症例のように、歪んだ胸椎が元に戻り症状が改善するのとはわけが違います。
痛み止めやしびれどめは、堤防で洪水の決壊を止めているだけです。