甲状腺の数値は正常、それでも体がだるい

女性の患者さんでは、血液検査をきっかけに甲状腺機能の異常が見つかることがあります。

代表的なものとして、甲状腺機能低下をきたす橋本病(慢性甲状腺炎)や、甲状腺機能亢進をきたすバセドウ病があります。

こうした病気では、医療機関で適切な治療を受け、薬によって検査数値が正常範囲に保たれていても、「動悸がする」「身体がだるい」「むくみやすい」など、体調の不調を訴える方を臨床ではしばしば経験します。

当院では、甲状腺の病気そのものを鍼灸で治療するという考え方ではなく、医療機関での治療を継続していただいたうえで、全身状態を整えることを目的に鍼灸を行っています。

月に1回程度、定期的に施術を受けることで、「身体が楽になった」「調子のよい状態を保ちやすくなった」と話される患者さんもいらっしゃいます。

先日も、関節炎で継続して治療している患者さんが、

「今回は、いつもより身体がだるくて、だるくて仕方がない」

と訴えられました。

そこで全身の状態を確認し、東洋医学的な所見から選んだツボを加えててい鍼(刺さない鍼)施術しました。

次の治療日に来院されたときには、前回の強いだるさが嘘のように軽くなり、いつもの様子に戻っておられました。

もちろん、すべての方に同じ変化が出るわけではありません。また、甲状腺疾患については血液検査や医師による診断・治療が基本であり、鍼灸が薬の代わりになるものでもありません。

一方で、検査数値だけでは表しにくい「身体の調子」を整えることは、鍼灸が力を発揮できる分野の一つではないかと、日々の臨床から感じています。

本格的に全身を診ながら施術を組み立てる場合、当院では1回1万円ほどかかります。

この費用を高いと考えるか、それとも日々の体調を整え、生活を少しでも楽にするための費用と考えるかは、最終的には患者さんご自身の判断になります。

必要な方に、鍼灸という選択肢があることを知っていただければと思います。