「鍼治療」と聞くと、「痛そう」「怖い」といったイメージをお持ちの方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、当院で行う鍼治療のひとつに、皮膚に「刺さない鍼」、すなわち【てい鍼】=鍉鍼(ていしん)を用いた、優しく心地よい治療法があります。
てい鍼は、先端が丸く加工された、古代から使われている鍼の道具の一つです。古代の書籍、霊枢:九鍼十二原篇に記載されています。
一般的な鍼(毫鍼/ごうしん)のように皮膚に刺し入れることはなく、ツボや経絡(気の通り道)に軽く接触させたり、押したり、撫でたり、擦ったりといった穏やかな刺激を与えることで治療効果を引き出します。
あん摩指圧マッサージなど、強い刺激が好みの人には合わない治療です。
その人へもバッチリ効くのですが、強い刺激に慣れてしまい分からないからです。喫煙や飲酒と同じです。
てい鍼治療の特長とメリット
1. 痛みがなく、安心・安全
てい鍼は皮膚を傷つけることがないため、痛みを全く伴いません。
小さなお子様(小児鍼)から、刺激に敏感な方、ご高齢の方、そして「鍼は苦手だけど興味がある」という方まで、安心して受けていただけます。また、刺入による感染リスクの心配もありません。
2. 自律神経の調整に優れている
非常に優しい刺激であるてい鍼は、皮膚表面にあるツボや神経にアプローチし、自律神経のバランスを整えることを得意としています。
ストレスや疲労で乱れがちな心身の調和を取り戻し、深いリラックス効果をもたらします。施術中にうとうとされる方も多くいらっしゃいます。
3. 幅広いお悩みへの対応力
てい鍼は、全身の「気・血・水(津液)」の流れを整え、身体が本来持つ自己治癒力を高めます。
そのため、肩こりや腰痛、頭痛といった一般的な運動器の痛みはもちろんのこと、自律神経の乱れからくる不眠やだるさ、冷え、むくみなど、不定愁訴(病院では異常なしとされる不調)にも幅広く対応します。
なぜ「刺さない鍼」で効果があるのか?
東洋医学では、身体の表面を流れる「気」の流れ(経絡)を整えることが、健康への鍵だと考えられています。
てい鍼は、皮膚に軽く触れるだけでも、この経絡を通して身体の内側へ適切な信号を送ることができます。
熟練した鍼灸師がてい鍼を扱うことで、その穏やかな刺激が全身の緊張を緩め、滞っていた流れをスムーズにし、心身のバランスを自然な状態へと導くのです。
当院では、このてい鍼を中心に、お一人おひとりの体質やその日の状態に合わせたオーダーメイドの施術を行っております。
過去に「鍼は痛かった…」という経験がある方や、針を見ると緊張してしまう方でも、てい鍼なら怖がらずに治療を受けていただけます。痛みもなく体がふわっと軽くなるてい鍼で、安心して東洋医学の優しいケアを体験してみませんか。