マグネシウムクリームで膝の痛みと腫れが軽減した80代患者さん

1.患者さんの背景

80代後半の患者さんです。

基礎疾患にくる病があり、O脚変形を伴う変形性膝関節症があります。

歩行時には両手に杖を使用されており、膝関節の機能に制限がみられます。

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2.これまでの施術と経過

当院では、月に1回の鍼施術を継続しています。

鍼施術を行うと膝の痛みが軽減し、患者さんも楽になられます。しかし、時間が経過すると再び痛みが戻るという状態を繰り返していました。

これでも来院前より随分状態は良いと言われます。

そのため、施術による一時的な改善だけでなく、ご自宅で継続できる補助的なケアが必要ではないかと考えました。

3.マグネシウムクリームの使用

膝関節痛に対する自宅での補助的なケアとして、私からマグネシウムクリームの使用をお勧めしました。

患者さんは約1か月間、継続してクリームを塗布されました。

なお、使用製品の成分や濃度、1日の塗布回数、使用量については、今後確認する予定です。

マグネシウム含有量の多いクリームは当院に置いてます。

4.使用後の変化

約1か月間の継続使用後、次のような変化がみられました。

  • 膝関節の疼痛が約50%軽減しました。
  • 膝全体のむくみや腫れも軽減しました。
  • 月1回の鍼施術は継続しています。

これまでは鍼施術によって一時的に痛みが軽減しても、時間が経つと元に戻っていました。

しかし、マグネシウムクリームを使用するようになってから、痛みだけでなく膝全体の腫れにも改善がみられたことは、臨床的に興味深い変化だと考えています。

5.臨床的な考察

① くる病とO脚変形について

くる病による骨変形が残っている場合、下肢のアライメント異常によって膝関節内側への負担が増加し、二次性の変形性膝関節症につながることがあります。

今回の患者さんもO脚変形があり、歩行時には両手に杖を使用されています。

このように膝関節の構造的な問題が残っていても、疼痛が軽減したことは注目すべき点です。

② 疼痛と腫脹が同時に軽減したことについて

今回、特に興味深かったのは、痛みが約半分になっただけでなく、膝全体のむくみや腫れも軽減したことです。

変形性膝関節症に伴う腫脹には、滑膜炎、関節液の貯留、関節周囲の軟部組織の変化などが関係する場合があります。

ただし、今回の腫れがどの組織に由来するものだったのかは、現時点では確定していません。

③ マグネシウムクリームの作用について

マグネシウムは、神経伝達、筋収縮、細胞内代謝などに関与する重要なミネラルです。

また、マグネシウムと炎症反応との関係についても研究が行われています。

しかし、皮膚に塗布したマグネシウムが十分に吸収され、膝関節の炎症や疼痛を直接改善するという作用は、現在のところ科学的に確立されていません。

今回の改善には、クリームの塗布による皮膚刺激、塗布時の摩擦、従来の鍼施術、症状の自然な変動などが関係している可能性もあります。

そのため、今回の改善がマグネシウムクリームによるものだと断定することはできません。

6.関連する医学文献

① Kass L, et al.(2017)

Effect of transdermal magnesium cream on serum and urinary magnesium levels in humans: A pilot study.

PLOS ONE, 12(4), e0174817.

マグネシウムクリームを皮膚に塗布した場合の吸収について検討した小規模研究です。

一部の対象者では血清マグネシウム値に変化が認められましたが、経皮吸収の程度や臨床的な有効性については、さらに研究が必要とされています。

② Gröber U, et al.(2017)

Myth or Reality—Transdermal Magnesium?

Nutrients, 9(8), 813.

経皮的なマグネシウムの吸収や有効性について検討した総説です。

皮膚からのマグネシウム吸収や全身的な補充効果を支持する科学的根拠は、現時点では十分ではないと指摘しています。

これらの論文は経皮的マグネシウムに関する研究であり、変形性膝関節症に対するクリームの治療効果を直接証明したものではありません。

7.今後の観察項目

今後もマグネシウムクリームの使用状況と膝関節の状態を確認しながら、次の項目を継続的に観察していきたいと考えています。

  1. 膝関節痛の程度をNRS(0〜10)で評価します。
  2. 膝周径を測定し、腫脹の変化を確認します。
  3. 膝関節の熱感、圧痛、関節液貯留の有無を確認します。
  4. 歩行距離や立ち上がり動作、杖への依存度の変化を観察します。
  5. マグネシウムクリームの継続使用によって、改善した状態が維持されるか確認します。
  6. 使用製品の成分、塗布回数、使用量、皮膚への影響を確認します。

8.まとめ

今回、くる病を基礎疾患とし、O脚変形を伴う変形性膝関節症の80代患者さんに、月1回の鍼施術に加えてマグネシウムクリームの継続使用をお勧めしました。

約1か月間の使用後、膝関節の痛みが約50%軽減し、膝全体のむくみや腫れも軽減しました。

これまでは鍼施術によって一時的に痛みが楽になっても、時間が経つと元に戻る状態が続いていました。

そのような患者さんに、マグネシウムクリームを追加した後、疼痛と腫脹の両方に改善がみられたことは、臨床的に興味深い経験となりました。

ただし、今回の症例だけでマグネシウムクリームの有効性や抗炎症作用を証明することはできません。

今後も患者さんの経過を注意深く観察しながら、疼痛、腫脹、歩行機能の変化を記録していきたいと考えています。

同様の症例を積み重ねることで、マグネシウムクリームが膝関節痛に対する補助的なケアとして役立つ可能性について、さらに検討していきたいと思います。