帯状疱疹ワクチンは心血管疾患や認知症のリスクも下げる可能性

帯状疱疹=たいじょうほうしん、と言います。

現在、日本では下記のワクチンが提供されています。一定の年齢から自治体で補助が出で安価に接種が可能です。

私は、シングリックスを接種しました。

生ワクチン(乾燥弱毒生水痘ワクチン)(ビケンなど)

  • 接種回数: 皮下に1回
  • 効果: 予防効果は約50%
  • 費用: 安価だが、免疫低下している方は接種できない。

組換えワクチン(シングリックス)

  • 接種回数: 2か月以上の間隔をあけて筋肉内に2回
  • 効果: 予防効果は約90%と高い
  • 費用: 高価だが、制限なく接種可能。

以下の記事は、シングリックスに関しての記事です。


帯状疱疹ワクチンは心血管疾患や認知症のリスクも下げる可能性

帯状疱疹ワクチンについて、帯状疱疹そのものを予防するだけでなく、心血管疾患や認知症のリスク低下にも関連する可能性が報告されています。

2026年に発表された大規模研究では、新しい帯状疱疹ワクチン「シングリックス」を接種した人は、従来型ワクチンを接種した人と比べ、心血管疾患全体の負担が約9%低く、虚血性心疾患は約10%、心不全は約12%低いという関連が認められました。

さらに注目されているのが認知症との関係です。

英国ウェールズのデータを利用した自然実験では、帯状疱疹ワクチンを接種した人で、その後7年間に新たに認知症と診断される確率が約20%低下したことが報告されています。

また、シングリックスについても、従来の生ワクチンと比較して、その後6年間の認知症リスクが低いことが報告されています。この関連は男女ともに認められ、女性でより大きい傾向がみられました。

なぜこのような関連がみられるのかは、まだ明らかになっていません。

帯状疱疹ウイルスの再活性化を抑えることで神経炎症や血管障害を減らす可能性や、ワクチンによる免疫反応が慢性炎症などに影響する可能性が研究されています。

ただし、現段階で「帯状疱疹ワクチンを接種すれば心臓病や認知症を予防できる」と断定することはできません。特にシングリックスについては観察研究が中心で、今後さらに研究が必要です。

それでも、帯状疱疹を予防するためのワクチンが、心血管疾患や認知症にも影響する可能性が示されていることは興味深いところです。

日々の臨床では治療技術だけに目を向けるのではなく、このような予防医学の新しい情報にも目を向けていきたいと思います。

論文

  1. 心血管疾患:シングリックスと心血管イベント
    Corsi-Zuelli F, et al. Recombinant shingles vaccination and the risk of cardiovascular events. Nature Medicine, 2026.
    7万人超を対象に、組換えワクチンと従来の生ワクチンを比較した研究です。
  2. 認知症:約20%低下の根拠となったウェールズの自然実験
    A natural experiment on the effect of herpes zoster vaccination on dementia. Nature, 2025.
    これは主として従来の生ワクチン(Zostavax)についての研究なので、シングリックスの研究とは区別した方が正確です。
  3. シングリックスと認知症リスク
    Taquet M, Dercon Q, Todd JA, Harrison PJ. The recombinant shingles vaccine is associated with lower risk of dementia. Nature Medicine, 2024.
    シングリックス接種群では従来型ワクチン群より、その後6年間の認知症リスクが低く、認知症と診断されずに過ごす期間が17%長いという結果です。女性で関連がより大きくみられました。
  4. AS01アジュバントと認知症リスク
    Lower risk of dementia with AS01-adjuvanted vaccination against shingles and respiratory syncytial virus infections. npj Vaccines, 2025.
    シングリックスに使われているAS01アジュバントそのものが認知症リスクとの関連に関与している可能性を検討した研究です。