最近、スポーツをしている学生さんから「運動後の疲労を取るためにマッサージをしてほしい」と希望されることがあります。
スポーツ後のマッサージやリカバリーが一つのブームになっていますが、私は、通常の運動後の疲労であれば、必ずしもマッサージは必要ないと考えています。
下手なマッサージや筋膜リリースを受けると筋肉自体の性能が劣化することを覚えておいて下さい。筋膜の癒着や挫滅は簡単に治らなくなってしまいます。
私自身、若い頃に運動をしていたときは、多少の筋肉疲労があっても、一晩しっかり眠れば翌日にはかなり回復していました。
もちろん、練習量や競技レベル、年齢、体調によって疲労の程度は異なります。
通常の運動による疲労であれば、まず大切なのは、
- 十分な睡眠
- 適切な休養
- 栄養
- 水分補給
だと考えています。本当の疲労なら、これらが上手くいっていない証拠なのです。
マッサージには、
- 筋肉痛を和らげる
- 柔軟性を一時的に改善する
- リラックスする
- 「身体が楽になった」「回復した」と感じる
といった効果は期待できます。
しかし、運動後に毎回マッサージを受けなければ身体が回復できない、というものではありません。
当院ではマッサージは行っていません。所詮マッサージは慰安と考えるからです。
一方で、
- 一晩休んでも痛みが残る
- 同じ場所を繰り返し痛める
- 関節が動かしにくい
- 身体の動きに左右差がある
- 特定の競技動作で痛みが出る
このような場合は、単なる運動後の疲労ではなく、身体のどこかに問題が隠れている可能性があります。
その場合には「疲れているから揉む」のではなく、身体の状態を確認して原因を考え、必要な施術を選択することが大切です。
若いスポーツ選手には、
「休めば自然に回復する疲労」と「治療が必要な痛み」を区別すること
も覚えてほしいと思っています。
年齢を問わず疲労回復を目的とする方には、当院ではマッサージとは異なる方法として、ミトコンドリアの働きに着目したコンディショニングを自費で提供しています。
筋出力を上げる特殊な鍼も行っています。
これらは抜群の効果を発揮しますが、何も感じないのが欠点です(笑
論文ではどうなっているのか
研究結果も興味深いものがあります。
スポーツマッサージについての系統的レビュー・メタ解析では、
- 筋力
- ジャンプ
- スプリント
- 持久力
- 疲労
などの運動パフォーマンスを明確に改善する効果は認められていません。
一方で、
- 筋肉痛(DOMS)の軽減
- 柔軟性の改善
については一定の効果が示されています。
- スポーツマッサージがパフォーマンスと回復に及ぼす影響:系統的レビューとメタ分析 – PMC https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC7228568/?utm_source=chatgpt.com
また、2023年の114研究を対象としたレビューでも、マッサージは運動能力そのものを高めるというより、
- 筋肉痛
- 疲労感
- リラックス感
- 回復したという感覚
などへの効果が中心と報告されています。
- マッサージ療法がスポーツおよび運動能力に及ぼす影響:系統的レビュー – PubMed https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/37368560/
つまり、「マッサージを受けると楽になる」ということと、「身体の回復や運動能力そのものが向上する」ということは、分けて考える必要があります。
